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自治体・行政機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 観光関連補正予算のポイント(観光庁・水産庁)

2024.12.24
地域マーケティング
誘客促進
戦略策定

2024年12月17日、国の令和6年度補正予算が成立しました。
そのなかで、観光庁では総額543億円が計上されています。「地方誘客促進によるインバウンド拡大」に80億円、「観光地・観光産業の再生・高付加価値化」に300億円を投じるなど、「観光立国推進基本計画」において掲げる「2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円」という目標の達成に向け、観光振興を進める方針です。

地域での観光振興の取組においては、国の支援を活用することも一手です。
今回は、観光関連の3つの補正予算事業について、ポイントをまとめてみました。

地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業

令和5年度補正「特別な体験の提供等によるインバウンドの消費拡大・質向上推進事業(補助金)」(特別体験事業)の後継事業です。
観光資源を生かした「特別な体験」を高単価な「プレミアムインバウンドツアー」として展開することにより、外国人旅行客の来日意欲を創出するとともに、より効果的に観光消費を拡大し、地域へインバウンドの経済効果を波及させることを企図し、コンテンツ造成や販路開拓、情報発信などの一貫した支援を行うものです。

特別体験事業で採択された「特別な体験」としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 世界遺産、自然遺産等の国際通用性のある舞台を利用した体験
  • 文化財をこれまでとは異なる形で活用するもの
  • 特別な人物とともに体験を行うもの(人間国宝、当代随一の職人、有名ガイド、有名シェフ等)
  • 人気のある場所や、通常は利用用途・利用時間等に制限がある場所を特別に活用した体験
  • 地域産品や伝統工芸品等のモノ消費と一体となった特別体験 など

観光コンテンツ自体の魅力に加え、訴求したい海外市場へどのようにアプローチし販路開拓するか、いかに商流に乗せ継続的に取り組むのかが重要です。また、食の地産地消、地域人財の活用など、「地域調達率」を高め、地域の消費を最大化していくこともポイントです。

観光コンテンツ造成等の支援を受ける事業者の公募期間は、2025年2月6日(木)~3月14日(金)を予定。

公募期間は観光庁事務局公募の公募要領に記載

事業形態
間接補助事業(最低事業費1,500万円)
補助額
1,000万円まで定額+1,000万円を超える部分については補助率1/2 (補助上限:3,500万円)
例)事業費1,500万円の場合 1,000万円(定額分)+250万円(1/2補助分)+自己負担250万円
補助対象
国→民間事業者(事務局)→地方公共団体、DMO、民間事業者等

事業を継続的に実施していくには、地域における役割分担と体制づくり、収益を確実にあげるための事業計画が重要です。

当社は、各国にグループ会社やインバウンド向けのランドオペレーター会社を有しております。また、過去の同様の事業にも数多く関わっています。事業を検討されている地域や企業などの皆様と一緒に事業に取り組むことができればと思っております。

ぜひJTBへご相談ください。

地域観光魅力向上事業

令和5年度補正「地域観光新発見事業」(新発見事業)の後継事業です。
インバウンドを中心とする三大都市圏への需要偏在を解消し、全国津々浦々に観光による経済効果を波及するため、地域の多様な観光資源を活かした収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信まで、総合的な支援を行うものであり、地域の観光コンテンツ産業の裾野の拡大や活性化に寄与することを企図しています。

単に観光資源をそのまま観光コンテンツとして活用するのではなく、地域にとって経済効果の高い魅力的な観光コンテンツとなるよう、プロダクトアウトの観点に寄らず、顧客の体験価値の向上を重視したマーケットインの視点で観光コンテンツを磨き上げることが重要です。

観光コンテンツ造成等の支援を受ける事業者の公募期間は、2025年3月3日(月)~4月18日(金)を予定。

公募期間は観光庁事務局公募要領に記載

事業形態
間接補助事業(最低事業費600万円)
補助額
400万円まで定額+400万円を超える部分については補助率1/2 (補助上限:1,250万円)
例)事業費1,000万円の場合 400万円(定額分)+300万円(1/2補助分)+自己負担300万円
補助対象
国→民間事業者(事務局)→地方公共団体、DMO、民間事業者等

新発見事業では、以下の5つの観点に基づき審査が行われていました。また、採択案件の80%以上が地方部(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県を除く地域)となるよう優先採択されています。

地方公共団体、DMO、民間事業者等の地域の関係者が連携して、販売実施体制等を整備し、ビジネスモデルを構築することで、持続可能な観光地域づくりにつながるよう、進めていく必要があります。販路開拓・情報発信においては、個人手配化・オンライン手配化の流れに即し、OTAやSNSの活用等についても検討が必要です。オペレーションの改善や顧客の利便性向上のため、体験アクティビティ予約管理システム「JTB BÓKUN」の活用もおすすめします。

ぜひJTBへご相談ください。

海業振興緊急支援事業

水産庁では、令和4年3月に閣議決定された水産基本計画及び漁港漁場整備長期計画において、「海業の振興」を位置付け、豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活かした地域の水産業を活性化する「海業」の取組を促進しています。また、漁業の根拠地である漁港の価値や魅力を活かし、水産物消費の増進や交流人口の拡大、陸上養殖等の漁港機能の強化を図るため、漁港・港湾関連施設を観光交流拠点や販売施設などとしても利活用できるよう漁港漁場整備法等の一部改正が行われました。

海業の振興により、漁村のにぎわい創出や、雇用機会の確保と地域の所得向上を図ることが必要であり、特に漁港は、静穏な水域と事業用地が確保され、海洋資源の利活用を行いやすく、「モノ消費」から「コト消費」を実践していくことが可能との判断から、海業の展開に適しており、人々が漁港を訪れ、さまざまな体験を通じて水産業への理解とともに水産物の消費の増進につながることが期待されています。

観光客にとって、漁港は大変魅力的です。普段見ることができない漁師の仕事や、自らが釣った魚を漁師の指導を受け、魚を捌き、刺身にして食べる体験、獲れたての魚介類だからこそ作れる新鮮な食事など、魅力の宝庫であり、旅の目的になる地域の重要なコンテンツです。

海業の全国的な展開に向け、海業の立ち上げに必要な実証調査やモデルづくり、地域において漁業者等が海業に一歩を踏み出す取組を支援するため、令和6年度補正予算では2億円が計上されています。

JTBでは、一例として、JTB高松支店の観光開発プロデューサーが中心となり、高松市中央卸売市場や地域の方々と協力して、市場内のうみまち商店街にて、未利用魚や規格外の野菜を活用した食事を開発・提供したり、観光交流拠点を開設したりするなど、漁港にある市場の活性化に取り組んでいます。また、魅力はたくさんあるけれどなかなか行きづらい、瀬戸内海の島々を舞台とし、チャーター船を活用した島旅の提案や、現地での体験等のコーディネートまで、ワンストップサービスを提供する「瀬戸内アイランドコンシェルジュサービス」を運営しています。
海業の取組についても、ぜひJTBへご相談ください。


まとめ

地域への誘客には、地域の独自性や地域ならではの地域資源が不可欠です。地域資源を持続的な観光コンテンツにしていくために、地域資源を磨き上げ、適切な販路開拓や情報発信をし、高い収益を上げていくことが必要です。

人々の価値観やライフスタイルが多様化するなか、観光コンテンツ開発や観光地域づくりを進める際に大事なのは、マーケットインの視点です。地域資源を中心に考えがちですが、過去の取組事例を振り返ってみても、お客様ニーズが、地域資源を磨き上げる重要な鍵となっています。

JTBには、地域に寄り添う視点と、お客様目線を持ちながら、事業に取り組む専門家が多数在籍しています。全国47都道府県に、地域に根ざしたJTBの支店がありますので、まずは最寄りの支店にご相談ください。


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