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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 「じぶん探求」で育む生き抜く力。金融教育とキャリア教育の横断的な学びの効果とは?

2025.02.25
国内プログラム

「お金」を切り口に人生を模擬体験し、自分の生き方を考え抜く「じぶん探求プログラム」。このプログラムは、キャリアデザインとライフデザインを密接に結びつけ、若い世代の将来の経済的自立と幸福の実現を目指します。そのために自己理解を深め、将来にむけて考えるきっかけを提供します。金融教育とキャリア教育の横断的な学びの効果について、キャリア教育コーディネーターがインタビューしました。

 

じぶん探求プログラムとは

じぶん探求プログラムとは、合同会社フラタニティの「差がつく!金融プログラム」と、JTBのキャリア教育プログラム「CASプログラム 開発Ⅰ」を組み合せて開発された4コマのプログラムです。

ゲームやワーク、講師との対話など、さまざまな仕掛けによって得た情報をもとに自分の価値観と向き合うことで、自分なりの“人生の軸”を発見し、困難にも耐えうる「生き抜く力」を育みます。

じぶん探求プログラムの概要説明資料
  • 差がつく!金融教育プログラムについてはこちら
  • CASプログラムについてはこちら

じぶん探求プログラム開発者インタビュー

じぶん探求プログラムの開発プロジェクトメンバーである合同会社フラタニティの大成 裕道 氏とJTBの濱野に話を聞きました。

プロフィール

合同会社フラタニティ大成 裕道 氏(Hiromichi Onari)

株式会社JTB キャリア教育事業室濱野 慎太郎(Shintaro Hamano)

インタビュアー認定キャリア教育コーディネーター 玉木 雄三

――はじめに、大成さんが金融教育を実施するきっかけについて教えてください

大成
前職でライフプランナーとしてお客様のご自宅に訪問する保険の営業担当をしていた頃に、若者に対する金融教育の必要性を感じたことがきっかけです。当時の業務は、人生設計が一人一人異なるお客様に対し、必要な保障額や将来貯蓄額などを算出し、個人個人に必要だと考える商品を提案していました。お客様が経済的準備を真剣に考え始めるのは、結婚を意識する世代で、30 歳前後からが多かったです。経済的準備は、若ければ若いほど有利になるため、より早い段階で考える機会を提供したいと考えるようになりました。前職は非常にやりがいのあるお仕事でしたが、若い世代、特に社会に出る前に金融教育を受けることが重要だと感じ、現在の会社を起業し、現在に至っています。

――なぜ、社会に出る前に金融教育を受けることが必要だと考えましたか?

大成
私は、金融教育の大きなゴールは、ウェルビーイングの実現だと考えます。それを達成する手段として、お金を「増やす」と「守る」というこの二つの知見が必要だと思っています。「増やす」という点は、今後も少子高齢化で年金が減り、インフレの世界に突入すると、現在のお金の価値が下がり、これまで以上にお金が必要になります。単純にお金をどうやってもっと稼ぐかを考えることに加えて、資産形成をどのようにやっていくかという点で金融教育は必要になります。更に大事なことが「守る」という点です。金融自由化により、様々な業者が複雑化された金融商品を取り扱えるようになり、詐欺被害も拡大しています。仮に増やせたとしても、リテラシーが低く、騙されてしまっては、大切なお金が無くなってしまいます。「増やす」と「守る」の知見を同時に高めるためには、若い世代が金融教育に触れて、リテラシーを高めていくこと以外に解決策はないと考えています。だからこそ、社会に出る前の中高生という世代に対して実施することが、必要だと考えます。

――次にプログラムの詳細と効果を教えてください。

大成
1コマ目の「ミライフカード🄬」を通じて、金融に対して関心を高めていただきます。生徒は人生の模擬体験をし、お金と人生のつながりについて、興味を持って考えます。お金は働くこと(キャリア)よりも身近にあり、お金について開かれた考えを持ってもらうことをゴールにしています。

2コマ目のMy Life Designでキャリアの側面に一歩寄ります。人生において自分はどのようにお金を使っていき、その為にはどうすればいいのだろうか、専用シールを使って見える化をして、他者と意見交換をすることで自分のお金の使い方の癖を知ります。
例えば、自分ではお金に対して控えめな性格だと思っているが、友達から見ると派手な性格だと言われ、自分はそういう癖があることを認識したことで、ガツガツ稼げるような仕事を選んだ方がいいと考えるようになります。この生徒は、ただゆっくり過ごしたいから、まったりした仕事を選ぶというのでは、自分の内在的な幸福は実現できません。そこに寄与するためにも価値観を見える化をするところが、次のCASプログラムのテーマとの繋がりになると考えています。

マイライフデザインの教材の資料サンプル
マイライフデザインの教材の資料サンプル
濱野
その後に実施するCASプログラムの開発Ⅰの2コマでは、専用のワークブックや学生の就職活動の専用ムービーを見て、自分にとっての働く意味を考えます。例えば、自身の働く理由を考えて、その割合も円グラフを使って整理します。自分自身が一番大切にしたいことである「自分の軸」を発見し、自身の今後のキャリアデザインに活かしていただきます。
一見すると異なる領域のプログラムですが、子どもたちが未来に向かってより良い人生を歩んでいくという深い部分で繋がっており、教育の現場でも求められている「深い学び」に資すると考えています。
今までにない新たなキャリア教育プログラムとして、多くの学校に浸透させていき、生徒の成長機会の提供をしていきたいです。
CASプログラムの教材サンプル
CASプログラムの教材サンプル
CASプログラムの教材サンプル

――なぜ、金融とキャリアという異なる領域のプログラムを繋げようと思われましたか?

大成
金融教育においては、ウェルビーイングの実現に大きく寄与しているのではと考えています。豊かな暮らしをしていくという点で、キャリア教育にも通じるところがあると思います。幸福の実現において、お金は必須項目の一つであり、両者は密接に繋がっています。それを一本の線に結びつけることが大事だと考えています。
濱野
後半2コマのCASプログラム開発Ⅰにおいて、働く理由について考え、自分の価値観に向き合っていきます。その際に、働く理由の1つであるお金について、ライフデザインで向き合った後に考えると効果が更に高まります。じぶん探究プログラムでは、金融教育とキャリア教育という異なる2つの要素を融合させたことで、生徒が未来を見据えて今やるべきことを考え、行動に移してもらうことが可能になると考えています。

――1コマ目の「ミライフカード🄬」で、カードゲームにこだわった理由はございますか?

大成
カードゲームにすることで、わかりやすく、能動的に取り組みたくなるような仕掛け作りをしたいと考えたためです。金融を難しいものではなく、体験を通じて身近に捉えてもらうために試行錯誤した結果、カードゲームが最適だと考えました。

――2コマ目の「My Life Design」のライフデザインを通じて、生徒に最も伝えたいことを教えてください。

大成
自分の中で内省をして、自己理解を深めていき、自分の中の幸福とは何なのかを考えて、その重要性を理解していただきたいです。そして、その中にお金も必要だとうことを認識してもらえたらと思います。弊社は、「幸福の総量を増やす」をスローガンに掲げており、決して楽をしてお金を稼ぐことや、お金を貯めることを伝えたいわけではなく、大事なことは幸福になる為の手段として伝えたいと考えています。

――「ミライフカード🄬」や「My Life Design」が他の金融教育と違う点を教えてください。

大成
あくまでも中立性を保った金融教育であることです。生徒にいかにわかりやすくライフデザインを考えてもらい、将来の役に立つ講義を目指しています。一般の金融機関が行う金融教育の中にあるような、広告性や商品性はございません。広告性とは、CSRの観点での実施、商品性とは投資体験等を通じて将来の顧客としての自社商品に繋げるという観点を指します。弊社ではバックエンドの金融商品を一切持たないことで、中立的な教育機会の提供を担保しています。さらに、個人のウェルビーイングの実現をグランドビジョンとして、ライフデザインやキャリアを考えているため、生徒にとってわかりやすく役に立つことを第一義に考えている点で、全く異なるものであると捉えています。

――最後に今後の展望について教えてください。

大成
このプログラムを多くの学校で実施させていただき、若い世代である生徒に対して、ウェルビーイングの実現に向けた教育プログラムを実施していきたいと考えています。
濱野
金融教育とキャリア教育という一見すると異なる領域のプログラムですが、掛け合わせることにより、将来について考えを深めることが出来ると考えています。今までにない新たなキャリア教育プログラムとして、多くの学校に浸透させていき、生徒の成長機会の提供をしていきたいです。

まとめ

急速に変化する現代社会において、キャリア教育と金融教育の重要性が増しています。不確実な経済状況や労働市場の変化に対応するため、若い世代は早期からキャリアプランニングと金融リテラシーを身につける必要があります。
子どもたちの未来に備える力を育むことを通じて、社会をたくましくしなやかに生き抜く第一歩を踏み出してほしいと願っています。


関連資料

じぶん探求プログラムの詳細は こちらからダウンロード可能です。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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