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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 子どもたちと実社会をつなぐ。アイデア実用化も夢じゃない!企業共創型課題解決プログラム

2025.02.03
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STEAM教育
キャリア教育

産業界と学校が一体となるからこそ実現できる経験や学びを子どもたちに届けたい――。
デジタルからヒューマンまで異なる多様なリソースを掛け合わせることで新たな価値を創造し、様々な社会課題を解決できる人材を育てたい――。

そんな想いをもとに、150以上の企業、団体、学校の会員が所属する「誰もがカンタンにIoTが使える世界」の実現を目指すコミュニティと、子どもたちとの出逢いと共創の場を提供するプログラム「ifLinkスタートアップCamp!」。

今回はそんな「ifLinkスタートアップCamp!」を活用した学校の事例と、開発者インタビューの模様をお届けします。

ifLinkスタートアップCamp!とは

ifLinkスタートアップCamp!は、AI社会を生き抜く「共創する力」を育むため、東芝デジタルソリューションズとJTBなど4企業が共同で開発した、中高生のためのIoTを活用した企業共創型課題解決プログラムです。

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ifLinkスタートアップCamp!無料体験会開催中!(教職員向け)

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IoTを使った社会課題解決アイデアを高校生が企業にプレゼンテーション

2024年10月、東京都内で開催されたビジネス共創イベントifLink EXPOで、青稜高等学校(東京都品川区)の生徒がifLinkスタートアップCamp!で考えた社会課題解決アイデアを、企業や学校関係者を含む多くの参加者の前でプレゼンしました。プレゼン終了後には参加企業の方から名刺交換を求められるなど、生徒は社会とのリアルなつながりを肌で感じ取っているようでした。

発表アイデア

  • 「通勤・通学ラッシュの際に空いている車両が一目で分かるようにし、快適な通学を実現する」
  • 「日本の農業が抱える諸課題をIoTで解決し、持続可能な食料の供給を実現する」

先生のコメント

青稜中学校・高等学校 校長 青田 泰明 先生

本日は子どもたちのクリエイティビティを発揮する機会を頂戴できたことをうれしく思っています。本日のイベントをもってあの子たちが産学連携の面白さや可能性に挑戦すること、また、ひいては自分自身の可能性に挑戦すること、その意味とか価値に気づいてもらえたらなと思っています。

青田先生ご登壇 無料WEBセミナーのお知らせ 「DXハイスクール」何をする? ~事例から学ぶ進め方のヒント~
配信期間
2025年1月23日(木) ~ 2月21日(金)(オンデマンド配信)
申込締切
2025年2月20日(木)

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ifLinkスタートアップCamp!プログラム開発者インタビュー

ifLinkスタートアップCamp!の開発プロジェクトメンバーである東芝デジタルソリューションズ 兼 ifLinkオープンコミュニティの丸森宏樹氏とJTBの平尾篤之に話を聞きました。

プロフィール

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 ifLink推進室
一般社団法人ifLinkオープンコミュニティ
丸森 宏樹 氏(Hiroki Marumori)

株式会社JTB
企画開発プロデュースセンター
平尾 篤之(Atsushi Hirao)

左)丸森 氏 右)平尾

――はじめにifLinkについて教えてください

丸森
ifLinkとは、IFとTHENという形で様々なモノやサービスを連携、動作することができるIoTのプラットフォームです。例えば、IFで温度センサーを使用し、部屋の温度が15℃以下になった場合に、THENでエアコンを自動的にオンにする、といった設定を作ることで、ユーザーの困りごとを解決できます。ユーザーが抱える課題に対して、ifLinkにつながるモノやサービスの中から、ユーザー自身が自由に組み合わせを選び、自分に合った解決策を構築できるのが特徴です。

――コミュニティがあるそうですね。

丸森
「ifLinkオープンコミュニティ」のことですね。これは、誰もがカンタンにIoTを使える世界を実現するために、様々な企業や団体が垣根を超えてオープンに交流しながら、アイデア出しや実用化に向けた取り組み、マーケティングなどを行う「共創の場」です。現在150以上の企業、団体、学校が所属しています。

――コミュニティから実際に生まれたサービスや商品はありますか?

丸森
代表的なのは、キャンプ用の次世代型ペグです。キャンパーの方がテントを離れた際に貴重品やキャンプ道具を盗まれることがあるそうなのですが、それを防止するためにペグに振動を検知するセンサーを付け、ペグが振動するとスマートフォンにアラート通知が届く仕組みです。スタートアップ企業の方が日本初のキャンプ×IoTをやりたいという思いでコミュニティに参画したことから商品企画が始まったのですが、そのアイデアだったらこのセンサーを使うことで実現できるよ、というアドバイスをくれるメンバーと共同で、ifLinkで動くプロトタイプを作成し、ユーザーテストを繰り返して商品化した事例です。コミュニティに参加しているのは企業が多いので、このような商用化の事例が沢山生まれ、ビジネスにつながっていくことがコミュニティが未来に続いていくためには必要だと考えています。

――ビジネス中心のコミュニティから、教育にアプローチしようと思ったきっかけは何ですか?

丸森
コミュニティの中で、「アイデアを簡単に形にできるというifLinkの特徴を、体験を通して分かってもらえるツールがあるといいね」という話をしていたんです。そこで2019年にifLinkの開発元である東芝デジタルソリューションズが、「ifLinkオオギリ」というオリジナルアイデア発想法のカードゲームを開発しました。コミュニティのメンバーに体験してもらったところ、企業の方の「これは商品企画や研修で使えそうだ」という声に加え、「授業で活用したい」という学校の先生の声を沢山いただきまして、そこからこれは教育で活用できるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

――学校の先生はifLinkオオギリのどこに魅力を感じたのでしょう?

丸森
先生方からは、「課題を自分で考えることの大切さ」に気づかせてもらえたという声を多くいただきました。課題を解決するためのソリューションに該当するIFーTHENを考えることも大切ですが、その前にユーザーの困りごとを自分で考えるというプロセスを、ゲームをするかのように、体験を通じて楽しく学べるのが非常に良いということを仰っていました。学校では先生から与えられた問題を解く、という学びが自ずと多くなると思うのですが、社会に出ると逆で、問題が与えられていないところから自分でその問題を見つけなければいけない場面がほとんどです。
ifLinkオオギリは企業のメンバーが開発したので、自ら課題を発見することの重要性に着目してフレームを開発したことから、このような評価につながったのだと思います。

――丸森さん自身が課題発見の重要性に気づいたのはいつですか?

丸森
企業に就職してからです。入社当初は、会社のソリューションをそのまま提案すれば良いと思っていましたが、お客様ごとに課題が異なることに気づきました。課題を明らかにしないと、最適な提案はできません。常にユーザー視点でお客様が何に困っているのか、その本質を探る姿勢が重要だと感じています。課題発見は、最適な解決策を提供するための第一歩であり、オオギリのフレームは実社会で求められる思考のプロセスを、体験を通じて学べるツールだと感じています。

――オオギリはそれからどのように発展していったのですか?

丸森
ifLinkオオギリというフレームワークを作ってから、小学校、中学校、高校、大学、企業などの教育現場で何百回も実施してきました。その中で、コミュニティメンバーの意見を反映して進行方法やカードのデザインをブラッシュアップしたものが2023年に誕生した「ifLink EX」です。コミュニティ会員でもあるアプライドロボット(株)が商品化しました。

――カードゲームにこだわった理由は何ですか?

丸森
カードゲームの魅力は、課題を探索する→解決アイデアを創出する→それを実際に形にするという一連の流れをゲーム感覚で楽しみながら体験できることです。ただ、いわゆる「教育ツール」は教育現場を離れていざ社会で使おうと思ってもなかなか活用する機会がないということがあるんじゃないかと思います。その点、ifLink EXは、アイデア出しで終わりにするのではなく、実際に世の中に存在するデバイスやサービスが書かれたカードを使って、アイデアの実現手段を検討することも行えます。さらには、ifLinkオープンコミュニティとの連携を通じて、考案したIF-THENの仕組みを様々な企業の方と一緒に実用化に向けて取り組むこともできるのが最大の魅力と考えています。実際の企業でも新人研修やDX推進の発想力強化にifLink EXを活用していますので、それと同じツールを使ってアイデア発想を行うことでリアリティを感じてもらえると思います。

――ifLinkスタートアップCamp!はどのようにして生まれたのですか?

丸森
ifLink EXというツールを使った学びを、学校に大きく展開していきたいと考えていたタイミングでJTBさんがコミュニティに入会されました。教育事業をやられていることから親和性が高いと考え、私からifLink EXを紹介させてもらったのがきっかけでした。
平尾
私はJTBで産学連携をベースにした新事業や学校向けコンテンツの開発を担当していました。企業との接点を求めるなかでifLinkオープンコミュニティの存在を知り、ここに入れば様々な企業とつながることができると思い、入会しました。はじめにカードゲームを体験した時は非常に面白いと感じたのですが、一方で他のアイデア発想型プログラムとの違いがやや分かりにくかったんです。そこで、このプログラムならではの価値をどうつけるかという議論を重ねました。我々が最も重視したのは、コミュニティの参加企業と子どもたちとのつながりをいかに創出するかということでした。単純に企業とつなげると言っても150以上ある企業と子どもたちのアイデアをつなげることは簡単ではありません。つなぐ仕組みや企業からのフィードバック方法、評価基準や認定証など様々な視点で何度も検討を重ねた結果、生まれたのがifLinkスタートアップCamp!なんです。

――共同プロジェクトで苦労されたことはありますか?

丸森
このプロジェクトには、JTBさん以外にも複数の会社が関わっています。関わる会社が増えれば増えるほど、各社の狙いが交錯したり、認識のズレが生まれやすくなるので、プロジェクト設立当初は何度もお互いの主張をぶつけ合ったりもしました。ですが、共創を通じて何が実現したいかという「共通のゴール」を全員で描いてからは大きなトラブルもなく円滑に進めることができましたね。

――そのゴールとは何だったのですか?

丸森
コミュニティの150以上の企業や団体との交流によって、実際の学校だけでは学ぶことができない実践的な経験や学びを子どもたちに届けたいという思いです。これこそが今回のプログラムの一番の価値なのですが、そのためにどうすればいいか?という実現方法を全員で具体化していきました。それらが整流化されて一つのプログラムになったという形ですね。

――コミュニティ参加企業にとって、中高生とつながるメリットは何ですか?

丸森
子どもたちの柔軟な発想に出会えることです。ifLinkオオギリ一つとっても、子どもたちの方がすごい数のアイデアを出すんです。子どもたちは純粋に真面目に向き合ってくれるからこそ、大人には出せないようなアイデアや日常の困りごとが沢山出てきます。そこには、本当に実現してほしいニーズが書かれていたり、社会人じゃ考えないような予期せぬIFーTHENの組み合わせが考えられていたりするので、子どもたちが考えるアウトプットはすごい可能性を秘めていると常々感じています。

――ifLinkスタートアップCamp!を通して子どもたちに最も伝えたいことは何ですか?

丸森
今の子どもたちはVUCAと呼ばれる時代の中で大人になっていくので、予測が難しい時代にどのように考えて行動すればいいかをこのプログラムを通じて学んでほしいと強く思っています。例えば、「自分で課題を考えることが大事なんだよ」とか、「アイデアをアウトプットするためには実現手段を考えなきゃいけないんだよ」とか、「自分一人で考えるのではなくて、異なる人や多様な人と一緒に問題を解決するために共創で新しい価値を作っていくんだよ」とか。こういったことはコミュニティで常々大事にしている思考ですし、それをすべて詰め込んだものがスタートアップCamp!ですので、自ら考えて共創で課題を解決していく力を養ってほしいと思っています。
平尾
課題解決志向を兼ね備えたデジタル人材を育成したいですね。今の日本にはデジタルを活用しながら自分自身で課題を解決する力を持った人材が不足しているという課題があります。その両方が学べるというのがこのプログラムの強みです。あとはやはり共創ですね。様々な企業とか仲間と共創しながら考えることができるのがこのプログラムの魅力じゃないですかね。

――先生方に対してはどうですか?

丸森
ifLinkスタートアップCamp!では、コミュニティ参加企業からファシリテーターを学校に派遣するので、先生にすべてマスターしてもらう必要はありません。また、子どもたちと実社会との接点が生まれるため、学校の中だけでは教えることができない学びを届けられる点がこのプログラムの大きな特徴です。
平尾
最近では社会との接点を求める学校も増えていますが、先生方だけで社会との接点を作るのはなかなか難しいと思います。その点、私たちは150を超える企業や団体とつながっていますので、そのネットワークをフルに活用してもらいたいですね。

――今後の展望について教えてください。

丸森
企業とのつながりだけじゃなくて、中学生と高校生とか、高校生と大学生とか、学校同士の連携や接続にも、このスタートアップCamp!を拡げていきたいというふうに思っています。
平尾
参画企業を増やしていきたいですね。例えばある学校でプログラムを実施する場合に、地元の企業が持つアセットを使って地元の企業課題や地域課題をリアルに解決する場面があると、より学びが実社会につながっていくと思います。各地域の企業がコミュニティにも参画してくれることで、コミュニティ自体も活性化していくことになる。そんな輪がどんどん広がっていくのが理想ですね。
丸森
子どもたちが考えたアイデアをビジネスに活かした事例は、まだまだ多くはありません。このプログラムでは、企業と連携し、アイデアを実用化するための環境が整っています。子どもたちが考えたアイデアが世の中に実装され、実際に困っている人々の問題を解決し、社会に貢献できたという体験を提供していきたいと強く思っています。

まとめ

昨今、AI、IoTなどの先端IT技術の躍進や、DXによる需要増加などにより、社会全体にデジタル技術を活用して様々な社会課題を解決できる人材を求める声が急激に高まっています。私たちはこのプログラムが提供する子どもたちと企業との共創的な学びの経験を通して、AI社会をたくましくしなやかに生き抜く第一歩を踏み出してほしいと願っています。

無料WEBセミナーのお知らせ 「DXハイスクール」何をする? ~事例から学ぶ進め方のヒント~

配信期間
2025年1月23日(木) ~ 2月21日(金)
(オンデマンド配信)
申込締切
2025年2月20日(木)
所要時間
約75分
プログラム
【第1部】
DXハイスクール採択校 実践事例発表
青稜中学校・高等学校 校長 青田 泰明 先生
【第2部】
最新プログラムのご紹介

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