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学校・教育機関向け WEBマガジン「#Think Trunk」 大学職員の働き方改革~実施のポイントもわかりやすく紹介~

2024.11.12
学校運営支援
業務効率化
従業員満足

大学職員の労働環境について働き方改革が求められています。この記事では、大学の働き方改革を目指す担当者へ向けて、大学職員に働き方改革が必要とされている背景や働き方改革のポイントなどを解説します。あわせて国内外の具体的な事例も紹介していますので、ぜひご覧ください。

大学職員の働き方改革は急務

社会が多様化するなかでイノベーションを実現するには、大学の役割が重要です。具体的には、研究の新しい成果を生み出したり、有能な人材を輩出したりする必要があります。求められている役割を果たすには、大学職員が大学の取り組みをさまざまな角度から支えなければなりません。

しかし、実際には、大学職員にそのような意識が十分に浸透しているとは言い切れない状況です。大学が一丸となって世の中の期待に応えるには、働き方改革による体制の強化が不可欠です。働き方改革はあくまでも手段であり、大学職員の意識を変えるために実施します。

大学職員の働き方の課題

大学職員の働き方については、いくつかの課題があります。その中でも、事務作業の負担が大きいことが挙げられます。さらに、非正規雇用者に依存する傾向が強く、長時間労働や業務の分担が不十分な状況も問題となっています。

大学職員の働き方改革が必要とされる背景

大学職員には働き方改革が必要といわれています。ここでは、その背景について紹介します。

学生ニーズや外部環境が変化している

大学は、多様化する学生ニーズや外部環境の変化に迅速に対応する必要が高まっています。大学職員は、学生対応、授業運営支援、学内外の調整業務など、幅広い業務を抱えており、業務量が年々増加しています。大学運営の効率化を図るためには、事務作業の簡略化やデジタルツールの導入が不可欠であり、これにより大学職員の負担軽減が期待されます。

大学職員の離職率が高くなっている

大学職員の離職率が高くなる背景には、長時間労働や多岐にわたる業務負担が原因となっていることがあります。特に、正規・非正規を問わず、業務負担が過重になりがちな環境では、優秀な職員が離職してしまうリスクが高まります。労働環境の改善や柔軟な働き方の導入は、職員の定着率を向上させ、組織全体の安定的な運営に寄与します。働き方改革は、大学の人材確保にも大きく影響するため、早急な取り組みが求められています。

労働時間が増えている原因

大学職員の労働時間はなぜ増えているのでしょうか。ここでは、その原因について紹介します。

事務作業の負担が大きい

大学の事務の仕事をする執務空間は、学生対応の窓口を兼ねています。一般企業の執務空間とは異なるさまざまな業務が行われています。多様かつ複雑な業務に対応するため、大学の事務作業は非正規雇用者に依存している傾向も顕著です。非正規雇用者とは、有期契約労働者、パートタイマー、派遣労働者などを指します。大学職員の働き方改革においては事務作業の負担の軽減も重要です。

社会サービス活動の時間が増加している

社会サービス活動とは、大学以外の社会へ貢献することを目的とした活動です。大学では学生以外を対象とした教育やボランティアなどの社会サービス活動の時間が増えています。業務全体の割合はそれほど高くありませんが、大学職員の労働時間が増える原因の1つとなっています。

大学職員の働き方改革のポイント

大学職員の働き方改革は、どのように行えばよいのでしょうか。ここでは、ポイントを紹介します。

POINT01長時間労働を是正する

大学職員は労働時間が長くなりがちであり、働き方改革を進めるうえでは長時間労働の是正が必要です。タイムマネジメントツールの導入や、業務量の適切な配分を実践するため、それぞれの労働時間を客観的に把握するところから始める必要があります。また、労働基準法に基づく時間管理と労働安全衛生法に基づく時間管理を徹底することが大切です。

POINT02人事制度を見直す

大学の人事制度はほとんど変化しておらず、旧来の仕組みが現在もそのまま利用されているケースも少なくありません。しかし、大学を取り巻く環境は大きく変わっているため、人事制度の見直しも求められています。職務や必要な能力などを明らかにし、合理的な説明が可能な人事制度を設計することが必要です。

POINT03非正規雇用者の働き方を見直す

すでに触れたとおり、大学の教育研究や経営は、非正規雇用者の職員がいなければ成り立ちません。非正規雇用者が無理な働き方をしなくて済むよう、適切な管理やサポートが必要です。人員の配置状況、業務実態、処遇条件などを細かくチェックし、働きやすい環境を整えることが大切です。

POINT04事務作業を効率化する

大学職員の働き方改革を進めるうえでは、事務作業の効率化にも取り組む必要があります。大学の事務作業は、現在でもアナログの手法が中心になっている場合が多いです。紙ベースの作業はミスやトラブルが発生しやすいものの、デジタル化すればそれらの問題を大幅に減らせます。たとえば、手書きの申請書や文書の管理をデジタル化すると、スムーズな対応が可能です。

海外の事例 大学職員の働き方改革3つの具体例

海外では、大学職員の働き方改革が進んでいます。ここでは、具体例を3つ紹介します。

フィンランド

フィンランドでは、事務職員の働き方に柔軟性を持たせることで、業務効率と職員の満足度を高めています。具体的には、リモートワークを積極的に推奨し、職員が必要なときにオフィスに出社するだけで業務を進められる環境を整えています。

これは、ICT(情報通信技術)の高度な活用が進んでいるフィンランドならではの取り組みであり、クラウドベースのシステムやデジタルツールが普及しているため、事務作業の多くをオンラインで完結することが可能です。

韓国

韓国では、早い時期から職員の業務負担を軽減する取り組みが始まっています。まず、ほとんどの学校の勤務時間は、8時30分から16時30分までと決められています。また、2018年7月1日に勤労基準法が改正され、労働時間の基準が週52時間に短縮されました。

さらに、職員が担当する業務についても区分があり、特に行政業務の軽減に力を入れています。曖昧な役割が少なく、職員が対応する業務内容が比較的明確です。

オランダ

オランダは、大学に限らず労働時間が短い傾向にあります。オランダの年間の労働時間は1,378時間です。日本の年間の労働時間は1,714時間であり、オランダと比べて336時間も多くなっています。

オランダは父親休暇や介護休暇などをはじめとする休暇制度も充実しており、労働者の権利の保護が重視されています。仕事と子育ての両立に対する支援も手厚く、母親の就業率が高めです。

働き方改革に効果的な業務の進め方

大学職員の働き方改革を進めるには、業務の効率化が重要です。事務作業や授業支援などを効率よく進められるようになれば、大学職員の負担を軽減できます。ただし、大学職員の業務は多様かつ複雑であるため、効率化には工夫も必要です。たとえば、アウトソースを活用すると、コア業務に集中できる環境を構築できます

業務効率化を実現した具体例

ここでは、大学職員の仕事について業務効率化を実現した具体例について紹介します。

私立 A大学 様 JASSO奨学金業務

JASSO奨学金業務は多くの大学が利用しているものの、募集、個人情報の管理、各種連絡などの業務負担が大きいです。そこで、ある大学では、提出物や連絡のやり取りを専用のシステムで対応することにしました。その結果、煩雑で時間がかかる業務の負担が減り、教育に関わるコア業務にリソースを割きやすくなっています。

私立 T大学 様 留学実施に関わる事務局業務

大学には多様な人材を育成する役割もあり、その一環として留学を支援しているところも多くあります。ある大学では留学に関する業務が増え、新たな業務への対応が難しい状況になっていました。そこで事務局の業務をアウトソーシングし、重要な業務に対応する時間を多く取れるようにしています。

私立 N大学 様 大学地方入試運営業務

大学入試では、試験会場における感染症の集団感染が発生するリスクがあります。大学には入試を運営するノウハウはあるものの、集団感染を防ぐための専門的なノウハウがありません。ある大学では集団感染対策をアウトソーシングした結果、安心できる環境で余裕をもって入試を運営できるようになりました。


まとめ

世の中は大きく変化しており、大学もそれに応じた対応が求められています。大学が世の中の期待に応えるには、大学職員の活躍が不可欠です。しかし、大学職員の業務内容は多様で複雑であり、負担も大きくなっています。今後も大学としての役割を果たし続けるには、大学職員の働き方改革に取り組む必要があります。大学職員や業務を取り巻く状況を理解し、適切な対策を講じましょう。

働き方改革を進めるうえでは、業務の効率化が重要です。大学職員が対応すべき業務は多岐にわたるため、効率化にはアウトソーシングがおすすめです。アウトソーシングを行えば、大学職員が取り組むべきコア業務に集中しやすくなります。こちらの資料では、大学向けの業務委託の事例を公開しているため、ぜひご覧ください。


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