福島県郡山市に位置し、約700名が通う福島県立郡山高等学校。探究学習の一環として生徒が自分自身の進路や将来の生き方を考える「キャリア探究」を令和5年度からスタートしました。高校1年生では、自分自身のぶれない“軸”を自分や他者と対話しながら見つけ出し、「将来なりたい自分」を探究することを目的としてCASプログラムを実施しました。
今回は、単なる「進路指導」や「職業教育」で終わらせないキャリア教育の事例を紹介します。
- 背景
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学校では1年生に対し、自己理解や他者との対話を通じ、自分なりのキャリアを考え、自らそれを切り拓ける生徒育成を目的としたキャリア教育の実施を目指していました。
また、文理選択や個人探究を進める前の段階でこのプログラムを利用することで、生徒が考える文系・理系による職業や生き方等の固定概念をなくし、自らの可能性を広げてもらいたいと先生方は考えていました。
- プログラム概要
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4月18日(木)キャリア開発Ⅰ(2コマ) ~自己理解~
現在の職業に対する意識を理解し、グループワークを通じて働く理由を考えました。
オリジナルムービー視聴やグループワークを実施しながら、自分の働く理由の中で最も大切にしたいことを考えながら、自己理解を深めました。自分の軸について考える機会になりました。
5月16日(木)キャリア開発Ⅱ(2コマ) ~イキイキ働く社会人とのパネルディスカッション~
社会人から「自分自身のぶれない軸」の話を聞いた上で、自分自身に置き換え、将来をイメージしながら自分なりのキャリアを考えました。代表生徒と6名の社会人がパネラーとして登壇し、テーマに沿って対話を行いました。多様な価値観を持ち、誇りをもって仕事に取り組んでいる社会人との交流によって、生徒の意識変容に繋がったはずです。
テーマ例
「働く理由」・「仕事の魅力、やりがい」・「大変なこと、苦労すること」・「働く理由の中で 最も大切にしたいこと」・「学生時代に準備するべきこと」等
社会人パネラーとの講演と対話
5月30日(木)キャリア開発Ⅲ(2コマ) ~発展学習~
社会で必要なスキルについて考え、自分の未来予想と決意表明を行います。
変化の激しい時代を生き抜く生徒たちは、現実社会で必要なスキルは何かを把握し、明日からすべきことを考えました。これからの自分自身について向き合い、生徒それぞれが決意表明をしました。
ファシリテーター藤本氏の講義
- アンケート結果のご紹介
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生徒のアンケート回答から、学校の実施目的である「自己理解や他者との対話を通じ、自分なりのキャリアを考え、自ら切り拓ける生徒の育成」が達成されつつあることがうかがえました。一部を紹介します。
- Q1 キャリア開発Ⅰ(自己理解)はいかがでしたか?
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- 自分の将来について具体的に考えることができた。友達からの目線で自分を知ることができて、客観視することができたと思う。職業の種類や分野についてもっと知りたい!(キャリア開発Ⅰ)
- 自分の特性や強みを知れたので、大学選びや就活などで活用していきたいと思いました。ありがとうございました。
- Q2 キャリア開発Ⅱ(社会人との交流会)の中で一番心に響いた言葉は何ですか?その言葉を聞いて、どう思いましたか?
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- 自分の軸をみつける。絶対にぶれない目指す方向性をきめるのは大切だということに強く共感したから。
- WHYを繰り返す。自分の軸とかやりたいことを探す時にも使えるし、どんどん掘り下げていくことで新しい発見があると思ったから、自分も参考にしたいと思った。
- Q3 キャリア開発Ⅲ(発展学習)はいかがでしたか?
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- 自分が将来手に入れるべき能力について知り、他の人が将来どんな能力を手に入れたいかなどを知れてよかった。
- 社会の変化に対応しながら生きていかなければならないことがわかった。
- J’s GROW(教育活動効果測定システム)の測定結果
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J’s GROWについてはこちら
今回のCASプログラム実施期間の前後でコンピテンシー(行動特性)を測定した結果、『共感・傾聴力』と『課題設定』が最も伸びていました。
学校と担当者の振り返りにおいて、「自己理解や他者との対話を通じ、自分なりのキャリアを考え、自ら切り拓ける生徒を育成したい」という目的に対する深いつながりが認められました。
具体的には、他者との対話で深いレベルで理解しようとして『共感・傾聴力』が高まり、自己理解を深めて自身の状況を的確に把握し、何をすべきかを考えたことで『課題設定』が出来たのではと振り返りを行っています。
- 導入効果・先生の感想
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福島県立郡山高等学校 教頭 荒先生
キャリアアクシス(働く理由の中で、最も大切にしたいこと)とそれをしっかり持ったキャリアモデルとの出会い。
それをファシリテートしてくださった藤本正樹先生。生徒一人一人が、しっかりと自分と向き合い、これからの学びの土台を作ることができたと感じます。
実際、3ヶ月間で生徒たちは大きく成長できたと実感しています。福島県立郡山高等学校 飯豊先生
CASプログラムをとおして、ファシリテーターをはじめとして、多くの社会で輝く大人の方々の話を聞き、自分の将来の姿を考えるようになっていると思います。
自分のキャリアを考えることは、科目選択や進路目標の具体化のためにとても重要なことです。
このプログラムは、生徒が自身の在り方や生き方について考える良いきっかけとなっています。
- おすすめポイント(こんな学校におすすめ)
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- 職業教育に留まらない「キャリア教育」を実施したい学校
- キャリア探究や進路探究を取り組みたい学校

郡山高校は、スクールミッションにある「国を越えて社会の発展に貢献できる人材を育成する学校」の実現に向け、様々な企画を実施しています。また、先生方の生徒への愛情と思いがすごく伝わっています。
学校が目指す生徒の成長に対し、CASプログラムが一助となり、大変嬉しく思っています。