地域特有の食材を支えてきた昔ながらの魚屋が減少し、都市部でその魅力が知られる機会が減っています。一方で、インバウンド観光客にとっては、夜間に楽しめるスポットや体験機会の不足が課題となっています。一見すると異なるこれらの課題ですが、JTBのもとで交わり、新たな「つながり」を生み出しました。
JTBは長年にわたり築いてきた「安心・安全・信頼」のブランドを活かし、地域と都市、企業と自治体を橋渡しする役割を担っています。本プロジェクトにおいても、JTBだからこそ築けた信頼関係により、鳥羽市や鳥羽市観光協会が話を聞き、浜倉氏が新たな可能性を見出しました。しかし、それだけではありません。JTBには、顧客・自治体・地域に正対し、双方のニーズを深く理解したうえで、円滑なプロジェクト進行を実現するプロジェクトマネジメントの専門人財がいます。
単なる「つなぎ役」ではなく、地域の魅力を最大限に引き出し、持続可能な仕組みとして形にする。それがJTBの役割です。本プロジェクトは、その力が発揮された一例であり、都市に住む人々やインバウンド観光客を地域へと導く新たな取り組みとして、今まさに動き出しています。

写真右:鳥羽市 市長 中村 欣一郎(なかむら きんいちろう)氏
「町の魚屋の灯を消さないために」それぞれの想いが動かした挑戦
- インタビュアー
- 本日は、鳥羽市と浜倉的商店製作所様による新しい取り組みについてお話を伺います。まずは、このプロジェクトがどのように始まったのか教えていただけますか?
- 中村市長
- 鳥羽市では、人口減少や漁業の担い手不足が深刻な問題となっていました。そんな中で、JTBさんから「都市部で、食をきっかけとして地域の伝統文化や魅力を発信する面白い取り組みに挑戦している会社がある」と聞いたのが、浜倉さんとの出会いのきっかけです。
- 浜倉社長
- 私たちは、地域の魚屋さんが減っていく現状を何とかしたいという想いから、全国の生産者と連携して、都内の横丁で地域食材の魅力を発信する仕組みを創ってきました。そんな中、JTBさんを通じて海女漁が盛んな地域である鳥羽市さんとのご縁を頂きました。特に、何十年も前から日本遺産である海女漁に貢献していきたいと想いが強くありました。
- 中村市長
- 最初に浜倉さんとお話ししたとき、現場主義の考え方が共通していると感じました。「まずはやってみよう」というスタンスが、すごく心強かったですね。
- 浜倉社長
- 市長自ら「体験してみよう」と動いてくれたのが印象的でした。行政と民間が連携することで、もっと面白いことができると確信しましたね。

それぞれの魅力・強みが、新しい縁と価値を創造する
- インタビュアー
- お二人は、どのような可能性を見出されたのでしょうか?
- 中村市長
- 鳥羽市の貴重な文化や産業を都市部で発信し、実際に訪れて体験してもらう持続可能な仕組みを創りたいという想いがありました。そんな中、浜倉的商店製作所さんとのご縁を頂き、実現に向けた期待と可能性を感じました。
- 浜倉社長
- 私も同じ思いです。新橋のグランハマー内レストランの「海女城」では、実際に海女さんの素潜りや海女漁の様子が放映されます。その機会を通じて、地域の魅力や食材が提供されるまでの物語を知って頂き、「現地にいってみたい!」と思えるきっかけになればと願っています。実際に鳥羽の魅力と組み合わせることで、より多くの人にその価値を届けられるはずです。都市と地域をつなぐ循環型モデルを構築し、地域にも経済的効果を生み出していきたいと考えています。
- 中村市長
- 相互補完で、都市と地域の新しい関係性を築いていきたいですね。

企業版ふるさと納税が拓く、新たな可能性
- インタビュアー
- 鳥羽市としては、企業版ふるさと納税に関してどのような効果を期待していますでしょうか?
- 中村市長
- 日本遺産であり誇れる海女文化や真珠養殖などを最大限に活かし、地域振興・PRに努め、交流人口・関係人口が増やしたいという想いがあります。
- インタビュアー
- 浜倉社長は、鳥羽市への企業版ふるさと納税への取り組みをなぜご決断されたのでしょうか?
- 浜倉社長
- やはり鳥羽の魅力が際立っていたことが大きいですね。日本遺産である一方で衰退危機にある海女さんや鳥羽の豊かな海・海産物と自然。これらを“地域・生産者とともに盛り上げたい”という私の想いと、鳥羽市の課題感が合致したので、決断に至りました。


新しい市場を創造する
- インタビュアー
- この取り組みが、今後どのように展開していくと思いますか?
- 中村市長
- 本取り組みは、似たような課題を抱える他の自治体でも応用できると思います。特に日本各地に残る伝統産業や海女文化、農漁村文化などは、うまく発信しきれていないケースが多い。そのような地域には、浜倉的商店製作所さんとJTBさんとの共創の仕組みを横展開していけば、日本全体の地域活性化にもつながるはずです。
- 浜倉社長
- 日本各地にはまだまだ埋もれた食材や文化がある。これを交流拠点となる「横丁」と「旅」を活かした仕組みを構築し、都市部と地域の交流をさらに広げていきたいですね。
この好循環によって、日本の地域創生の流れがぐっと加速するはずです。

- 浦野・林(JTB)
- 我々は企業と地域の結節点となり、共創価値を生み出す唯一無二のパートナーとなることを目指しています。これからも浜倉的商店製作所様と共に賑わいを創出し、地域の文化や魅力と巡りあえる機会の創出を盛り上げていきたいと考えています。
そして、やがて横丁文化を海外へ輸出し、海外の拠点で日本各地の食や魅力を発信できれば、更に新たな市場が拓けると信じています。

写真右:株式会社JTB 東京中央支店 営業推進課 事業開発リーダー 浦野 雄次(うらの ゆうじ)
未来を共創するパートナーへのメッセージ
- インタビュアー
- 最後に、今後のパートナーに向けてメッセージをお願いします。
- 中村市長
- 地域が持つ魅力を最大限に活かすために、多くの方と協力したいと思っています。
- 浜倉社長・安藤氏
- 日本が誇れる食や文化をもっと発信したい地域の皆様、ぜひ一緒にチャレンジしましょう!
- 浦野・林(JTB)
- 我々は、地域と世界をつなぐ架け橋になります。共に未来を創っていきましょう!


写真右:トータルディレクター 安藤 氏

写真右:営業三課 林
さらに深く知りたい方へ
このインタビューでご紹介した「横丁」を活用した地域活性化。
その背景には、緻密な戦略とノウハウが隠れています。
- 官民連携による新しい価値創造の手法
- インバウンド観光客の誘致戦略
- 企業版ふるさと納税の戦略的活用
- グローバル展開へのロードマップ
など、実務に直結する知見を詳しく解説しています。