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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 JTBがイベントに「行動経済学」を取り入れた理由 顧客との関係強化につながるイベントのあり方

2024.10.23
ミーティング&イベント
会議・イベント運営

出典:2024年9月10日 『東洋経済オンライン』に掲載された記事広告を一部修正したもの(制作:東洋経済ブランドスタジオ)

JTBは2024年7月、法人顧客とのエンゲージメント向上を目的としたイベントを開催しました。「非日常空間を演出する」「セミナーではサービス説明をしない」など、一般的な企業セミナーやイベントと比べると斬新なスタイルながら、参加者の満足度は高かったです。これは「行動経済学」の視点を企画設計に取り入れた成果だと担当者は明かします。

顧客とのエンゲージメントを高める「行動経済学」を取り入れたJTBのビジネスイベントとは

企業認知の拡大や顧客との関係強化のために、ビジネスイベントを開催する企業は多いでしょう。しかし、その企画設計に当たって「何となくこういう内容がいいのでは」「いつもこのやり方だから」と、勘や経験に頼っていないでしょうか。せっかく実施するなら、顧客がよかった体験の記憶を持ち帰り、自社に対するエンゲージメントを高めてもらいたいものです。その確度を上げる策として、JTBが提案・実践するのがイベントに「行動経済学」を取り入れることです。その内容と実際のイベント事例について、担当者に話を聞きました。

出典:2024年9月10日 『東洋経済オンライン』に掲載された記事広告を一部修正したもの(制作:東洋経済企画広告制作チーム)

ビジネスイベントに求められる「体験価値」

「交流創造事業」を事業ドメインとするJTBは、旅行だけでなく企業のビジネスイベント開催も通じて、企業のエンゲージメント課題の解決を支援しています。年間1万件超(2023年度実績)のイベントを手がけるほか、企業のイベント担当者を対象とした調査も定期的に実施するなど、イベントに関する知見やノウハウを擁しています。近年のビジネスイベントのトレンドや課題には何があるのでしょうか。JTBでBtoBマーケティングを担当する前澤美保は、2024年7月に実施した調査結果も交えながら次のように説明します。

JTB ビジネスソリューション事業本部
マーケティングチーム
マーケティング担当マネージャー
前澤 美保

「イベントの開催方法として、コロナ禍前よりもオフラインを選ぶ割合が増えており、リアル回帰の動きが顕著です。とくに顧客を招くイベント開催に関しては、ブランディングや認知度向上を目的とする傾向がみられます。ただ、リアルでイベントを開催するに当たり、参加者に何を体験してもらうか、どうすれば満足してもらえるかといったことに悩む声が多く、イベントの企画設計に課題を感じるイベント担当者は少なくありません」
その背景には何があるのでしょうか。JTBコミュニケーションデザインでイベントの企画設計業務に従事する吉井和人はこう分析します。

JTB コミュニケーションデザイン 総合企画部 DX推進局
イベントプロデューサー/イベンテックエバンジェリスト
吉井 和人

「コロナ禍前は、商品・サービスの情報提供やブランディングも、オフラインイベントで行っていました。しかし、コロナ禍でオンラインイベントが普及し、情報はホワイトペーパーなどをウェブ上で提供することも多くなっています。そのため、参加者目線では単なる情報提供にとどまらない、会場に足を運ぶだけのプラスアルファの価値をリアルイベントに求めるようになっているのです」
つまり、参加者側がイベントに要求するレベルが上がったというわけです。そのため前澤は、これからのイベントには「体験価値」が重要としたうえで、「参加者の心に響く、記憶に残る体験を提供できれば、ブランディングや認知度を向上させ、エンゲージメント課題の解決にもつながります」と強調します。

イベント設計の工夫でポジティブな印象を与える

参加者に記憶に残る体験をしてもらい、やがてはビジネスにつながるようなイベントの企画設計には何が必要なのでしょうか。前澤は「希望するすべての人が支障なく参加できる『フィジカルニーズ』、ビジネスに役立つ『ビジネスニーズ』、そして心に響き、記憶に残る楽しさや驚きの体験で心を動かす『エモーショナルニーズ』という3つのニーズを満たした設計が、イベントの成功に不可欠です」と説明します。しかし「エモーショナルニーズ」は、他の2つと比べて、どうすればニーズを満たせるのか具体的なイメージがつきにくかったり、感性に頼らざるをえなかったりします。そこで、その確度を高める策としてJTBが取り入れるのが行動経済学です。実際に同社が法人顧客とのエンゲージメント向上を目的に2024年7月に開催したイベント「JTB Engagement Festival」では、行動経済学コンサルタントとして活動する相良奈美香をアドバイザーに迎え、行動経済学の観点からイベントを企画設計しました。このイベントのコンテンツ設計に携わった吉井は、次のように振り返ります。
「行動経済学と聞くと、魔法使いのようにお客様を自在に動かし、ブースに並ばせたり選択を後押しさせるイメージがあるかもしれませんが、そういったものではなく、相良先生からは人を動かす要素の1つとして『ポジティブ・アフェクト』と呼ばれる前向きかつ淡い感情を活用することを教わりました」
例えば、好きな飲み物を口にしてホッとする―。行動経済学の理論を知らなくても、この行動で生まれるポジティブな淡い感情を、気分転換に活用している人は多いでしょう。同様に、淡い感情を起こす仕掛けをイベントに組み込めれば、ポジティブな印象をもたらすことが可能になるというわけです。
行動経済学を理解するには、この「淡い感情」の効果を踏まえたうえで、さらに脳の「認知のクセ」を知る必要があります。行動経済学では、人は情報を処理する際に、「システム1」「システム2」の2つの思考モードを無意識に使い分けているという理論があります。
「システム1」は直感的かつ自動的に働く速い思考で、無意識に抱く印象や感情はこれに当てはまります。対して「システム2」は、意識的に努力しないと働かない遅い思考で、頭を使う必要があるいわばビジネスモードです。前述のビジネスニーズを満たすのには向いていますが、記憶に残る体験ができる「エモーショナルニーズ」を満たすには、「システム1」にポジティブ・アフェクトを仕掛ける必要があることがわかります。
そこで、「JTB Engagement Festival」では、セミナーセッションのMCをショーアップして、2人以上の対話形式にしたり、内容も製品説明はせず、かつ情報を盛り込みすぎないよう配慮しました。「1人で話すとどうしてもサービスや製品の説明をしてしまい、『システム2』のモードになりがちになるため記憶や印象に残りにくくなってしまいます。スライドや台本を読むだけではなく、対話だからこそ生まれるニュアンスを感じてもらえるようにしました。また、『脳を疲れさせることは避けるべき』という相良先生からの助言を踏まえ、話す内容も『物足りないくらいで終わらせる』など、情報オーバーロード(情報過多)にならないように留意しました」(吉井)

顧客との関係性を深めるビジネスイベントの持つ力

セミナー以外のプログラムや会場の空間づくりも工夫しました。会場はカラフルな風船や旗を飾り、受付ではDJが演奏する音楽で参加者を迎えるなど、イベント名のとおり「お祭り」感を演出しました。これは、情報の順番によって記憶の定着度に差が出るという「初頭効果」の理論を活用したもので、ビジネスイベントという印象を最初に払拭し、お祭りという非日常な「楽しい記憶」を残してもらうことを狙いました。さらにゲームコーナーや軽食、お酒、アイスクリームも用意してカジュアルに過ごせる雰囲気をつくり出し、ワークショップや参加者同士の意見交換ができるラウンドテーブルなどの参加型・体験型コンテンツも充実させました。そして、後からイベントの記憶を振り返るきっかけになるよう、最後にはロゴ入りのお土産としてクールネックリングをプレゼントしました。

カラフルな風船や旗を飾った展示会場。パネルやゲームコーナー、軽食コーナーなどをあえて「雑多」に設置し、にぎやかさを醸成しています。

このように行動経済学を取り入れた施策を多数展開した結果、JTBとしては確かな手応えを得たようです。「アンケートでは『JTBのエンゲージメントを体感できた』といった声がありました。企業のエンゲージメント課題、旅行だけではない多様な手段を持っているというJTBの姿を、フェスティバルの演出とともにお客様にポジティブにインプットできたのは狙いどおりだったと思います」と前澤は語ります。行動経済学を取り入れたイベントの1つの成功事例といえるでしょう。今回深めた顧客とのつながりは個別の商談や、後に予定するエンゲージメントをテーマにした少人数のワークショップでの意見交換などに生かしていく考えです。

セッション会場では複数人用のテーブルを配置し、聴講後にそのまま歓談や意見交換に移れる流れをつくりました。

もはや、どんな大企業でも、1社単独で課題を解決できる時代ではありません。めまぐるしく変化する社会の中で、顧客や取引先とともに課題に向き合い、互いのよさを生かして共創していく関係性を築くことが求められています。そうした中で、「つなぐ・つくる・つなげる」の思想の下、さまざまな形で顧客企業とその顧客との交流創造を支援してきたJTBの豊富な知見と実績が注ぎ込まれているビジネスイベントには、顧客とのエンゲージメントを高め、その先にまた計り知れない価値を生み出すヒントを見いだせるのではないでしょうか。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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