企業と顧客のコミュニケーションはデジタルが主力になり、簡単に・効率的に接触することが可能になりました。しかし、つながりが一方的になったり、関係性が希薄になったりすることも少なくありません。
JTBでは2024年4月に東京ビッグサイトで開催されたマーケティングの総合展に出展。「顧客との絆」をキーワードに、今後の販促・プロモーションのヒントを紹介しました。
本記事では、展示会でのブースやセミナー内容を踏まえて、旅行とマーケティング・プロモーションの関係性、絆を生み出す・深めるためのポイントをお届けします。
INDEX
プロフィール
顧客とのつながりを生み、深める方法 セミナーレポート
いかに顧客とつながり、関係を深めていくか。時代や世の中が変化しても、多くの企業が常に意識していることではないでしょうか。
まずは、株式会社Fun Japan Communications(以下、FJC)の代表取締役社長 山内 浩世氏とJTB ビジネスソリューション事業本部マーケティングチーム マネージャー 前澤 美保氏によるセミナーから絆を生み出す・深めるヒントをお届けしていきます。
株式会社Fun Japan Communications
会員数130万人以上・7 言語対応の海外向け Web メディア『FUN! JAPAN』をはじめ、メディア事業、EC事業、プロモーション事業、市場調査事業などを展開。“日本好きコミュニティ”に向けて、企業・自治体の商品やサービス、地域情報を伝えていくことで、アジアにおけるファン獲得、関係人口創出に向けた取り組みを共創している。
お客様との絆を生む“体験”とは
- 前澤 美保氏(以下、前澤)
- FJCでは、会員数130万人以上のメディアサイトを運営されていますが、会員様と絆を生むためにどんなことを大切にしていますか?
- 山内 浩世氏(以下、山内)
- 私たちの会社では、大きく3つのことを大切にしています。
1つ目は、5W1Hを意識したコミュニケーションです。ワクワクをいかに効果的に届けるか。最適なときに、最適な方法で、最適な情報を伝えることを意識しています。
2つ目は、ONE to ONEを意識し、トライアンドエラーを繰り返すこと。ワクワクを感じるポイントは人によって違います。そのために、一人ひとりに沿ったワクワクを届けることを大切にしています。特定のアプローチに頼るのではなく、トライアンドエラーを繰り返しながら、新たなサービスを生み出しています。
3つ目は、スピード。ビジネスのグローバル化、デジタル化が進む現代において、スピード感を持ってサービスを提供していくことは常に意識しています。
- 前澤
- BtoCはもちろんBtoBにおいても、「いかにワクワクを生み出しお客様の心を動かすか」が大切になっています。FJCでは、自社と企業様だけでなくクライアント企業様と『FUN! JAPAN』の会員様をつなげることもやっていますが、その際、どんなことを重視していますか?
- 山内
- デジタルとリアルのコミュニケーションの融合です。デジタルコミュニケーションがあるからこそ、リアルなコミュニケーションの価値が高まります。どちらか一方だけでは成り立ちません。
また、一方的ではなく、双方向であることも大切です。マーケティング施策において、お金をかけて一時的にデジタル広告を運用すれば、手軽に販売サイトへ遷移させたり、SNSの「いいね」を獲得できるでしょう。しかし、コンバージョンにはつながりにくく、たとえ、つながったとしてもリピートへのハードルは高くなります。
ワンウェイコミュニケーションではなく、インタラクティブなコミュニケーションが重要なのです。
- 前澤
- インタラクティブなコミュニケーションでは、モノや情報をそのまま届けるのではなく、コト化/ストーリー化して届けるかが大切ですね。そうすることで、お客様は“体験”として受け取っていただけます。
ファンであり続けてもらうためのポイント
- 山内
- 日頃から、さまざまなキャンペーンを行っています。キャンペーンの場で「お得!」や「ワクワク!」などのキーワードを打ち出すことで、ユーザーはポジティブな反応を示します。また、その前後でファンミーティングを実施することで、連続性が生まれる。このように、ポジティブな気持ちを刺激し、次の行動に移りたくなる、そんなストーリー性を大切にしています。
- 前澤
- デジタルとリアルの融合に加え、話題性や刺激を与えながらストーリーを導いていくのですね。より良いアプローチをしていくには、フィードバックを得ることも重要だと思います。どのように会員様の声を聞いていますか?
- 山内
- FJCには外国籍の社員が多数在籍しています。会員様と社員の距離が近く、家族のような関係性でコミュニケーションをとっているため、フィードバックを得やすくなっています。
コミュニティを盛り上げ続けるポイント
- 前澤
- 最近、多くの企業様はコミュニティに対する関心を持っている一方、継続の難しさを感じているようです。コミュニティを盛り上げ続けるポイントはありますか?
- 山内
- まずは、コミュニティを立ち上げたら、やり続ける覚悟が必要です。そのうえで、3つのポイントが重要です。
- グローバルで展開していくうえでは、日本人の価値観を押し付けないこと。
- コミュニティ構築には時間がかかることを理解する
- 「つながっている」というメッセージを送り続けること
2024年は、能登半島地震や台湾東部沖地震がありました。『FUN! JAPAN』のSNSでも、フォロワー同士で励まし合うコメントがたくさん見られました。私たちは普段からつながりを大切にコミュニティ運営している中で、自然と励まし合いが生まれ、運営側の意識が会員様にも伝染していると感じましたね。
- 前澤
- まさに、家族のような寄り添いがあるからこそ、生まれた絆ですね。コミュニティは、運営者と参加者が一緒につくるもの。お互いの声に耳を傾け、密なコミュニケーションを図るからこそ、コミュニティ内の絆が深まるのだろうと感じました。
旅行から生まれるストーリーと非日常の体験
ここからは、セミナーの内容の一部を深掘りし、旅行とマーケティング・プロモーションの関係性をお届けします。
近年は、プロモーションの場が多様化しており、旅のフィールドを活用し訴求をすることが増えています。移動の途中や宿泊先が企業の課題解決の場になることも少なくありません。
私たちは、現地に行くだけでなく、過ごす時間や環境を含めて、非日常の体験を提供しています。旅の計画~実行~リピートまで一気通貫で実施することで、お客様にストーリーを届けています。
マーケティング・プロモーション施策においても同様です。心を動かす体験があることで、企業とお客様がつながるきっかけが生まれる。ストーリーを描くことで企業とお客様のつながりが継続し、ファン化につながる。そして、お客様の心理状態の変化に寄り添うことが、継続的な関係構築につながるのです。
ハブとなることで、社会との絆が生まれる
旅行導線におけるプロモーションでは、連携先が広がりやすくなります。実際JTBは、自治体や交通機関、宿泊施設、レジャー施設など、たくさんのステークホルダーのハブとなり、協業をしてきました。
複数のステークホルダーとのつながりがあることで、プロモーションのフィールドが広がり、多種多様な企業様の課題解決に取り組むことができる。結果、企業と企業はもちろん、企業と教育機関、企業と自治体、の連携が生まれ、社会全体との絆が生まれるのです。
JTBだからこそ実現できる、プロモーション事例
JTBは交流創造をキーワードに、旅行業からマーケティング・プロモーション領域の支援へと事業内容を拡大しています。サポート事例を紹介します。
01大手家電メーカー様
課題
- 自社の美容家電の認知を広げたく、新たなプロモーションの場を探している
- 商品を実際に使ってもらえる場所を探している
施策内容
宿泊施設の各部屋に美容家電を設置してもらい、お客様に使ってもらうきっかけをつくりました。
効果
美容家電は、日常生活の中で手に取って使ってもらう機会がなかなかありませんでした。しかし宿泊施設であれば、身だしなみを整える時間や場所を演出できるため、使っていただく機会が大幅に増え、結果、認知拡大につながりました。
02キッコーマン株式会社様
課題
- 事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献していきたい
- 産官学連携により、減塩の啓蒙活動に力を入れていきたい
施策内容
神奈川県の公立小学校で「減塩教室」の授業を実施。食の栄養素と健康の関連性を伝え、減塩の重要性についての理解促進と健康を考えるきっかけを作りました。
効果
授業後のアンケートにて、生徒から「塩分の少ないしょうゆを使ってみたい」「家族にも減塩に気を付けてほしい」と回答があり、啓蒙学習だけでなく、態度変容のきっかけを生み出すことができました。 また、事前・事後のワークシートや、サンプル提供品を通じて保護者・家庭への啓蒙活動にもつながりました。
まとめ JTBに寄せられる相談の声
マーケティングWeekでは、JTBもブースを出展し、サポート実績や提供ソリューションなどを発表しました。当日は、企業担当者様から多種多様な相談を受け、今回はその一部を紹介します。
- 現在、インバウンド関連の新規事業開発に取り組んでおり、アジアからの訪日客へ向けたプロモーションを考えている。航空会社やメディアなど、複数の企業と連携したプロモーション案を考えてほしい!(家電メーカー業界 A社様)
- 商業施設などで催事イベントを実施したい。地域の人はもちろん、旅行客もターゲットに含めて集客ができるイベントをしたいので、企画してほしい!(ディベロッパー業界 B社様)
- アニメの聖地巡礼と脱出ゲームなど、体験コンテンツ×地域×観光のプロモーションを実施したい!(出版業界 C社様)
- まもなく自社の周年のタイミングを迎える。毎年アウターイベントを行っており、今までは、自社で企画・実施をしていたが、今年度はぜひ企画を一緒に考えて盛り上げてほしい!(IT業界 D社様)
その他にも、さまざまな業種の方々から、たくさんの相談をいただきました。
JTBでは、マーケティング・プロモーション・イベント施策を通じて、「顧客との絆」づくりを上流からサポートします。お客様の課題や要望に合わせたソリューションを提案しますので、お気軽にお問い合わせください。