顧客の囲い込みは、売り上げの安定化や顧客データの蓄積などにおいて非常に重要です。実際に手掛ける担当者は「施策案が思い浮かばない」「課題解決に最適な手法に迷う」と悩むかもしれません。本記事では顧客囲い込みのメリットから具体的な手法、成功実例まで紹介します。顧客からのエンゲージメントを高め、売り上げを安定的に伸ばす施策を立案し遂行する際のヒントになれば幸いです。
また、記事の最後にお役立ち資料「これからの顧客接点の作り方 イベントマーケティングを成功に導く2つのポイントとは」を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
INDEX
「顧客の囲い込み」とは
はじめに、顧客の囲い込みとは何か、目的と企業にとっての必要性の観点から紹介します。
顧客の囲い込みの目的
顧客の囲い込みとは、戦略的に既存顧客の離脱や流出を防ぐ手法です。さまざまな手段を講じて自社のファンになってもらい、永続的な顧客として固定化することが狙いです。LTV(Life Time Value・顧客生涯価値)という考え方が、顧客囲い込みの根底にあります。
LTVは、顧客との取引開始から終了までに生み出す利益の計算方法です。顧客を囲い込み、継続的な関係を構築することで、より多くの購買と利益を生み出せます。
顧客の囲い込みの必要性
市場環境の変化や広告コストの増加、価格競争などを受け、新規顧客の獲得は難しくなっています。新規顧客の獲得は、既存顧客にリピートしてもらうコストの5~10倍かかると言われるほどです。既存顧客を囲い込めれば、売り上げの継続的な安定が見込めます。売上予測も立てやすくなり、企業の生き残り戦略にも有効です。
顧客の囲い込みで押さえたい法則
顧客の囲い込み戦略を立案・実行する前に、押さえておきたい法則を2つ紹介します。
「5:25の法則」
「5:25の法則」は、顧客離れ(失客)を5%改善できれば、売り上げは25%以上改善するという理論です。顧客を囲い込み、自社のファンでいてもらう努力を続けることで、大幅に売り上げが改善できる可能性があります。新規顧客の獲得より、失客防止を重視した方が効率的です。
「パレートの法則」
「パレートの法則」は80:20の法則とも言います。売り上げの80%は、上位20%の優良顧客が作っているという理論です。企業の売り上げは、優良顧客のつなぎ止めにかかっています。優良顧客の失客は企業にとって損害となり、反対に優良顧客を囲い込めれば売り上げの安定が望めます。
顧客囲い込みにより得られるメリット
顧客の囲い込み戦略を実行すると得られるメリットは、4つあります。
MERIT01売り上げの安定
顧客の囲い込みは、リピーターを生み出します。リピーターは、企業に対する信頼や愛着心を持って、商品・サービスを繰り返し購入します。リピーターが多ければ多いほど、売り上げを安定させることが可能となります。社内のリソースを顧客獲得だけでなく、新商品の開発やサービス展開にも割けるようになります。
MERIT02顧客単価の向上
顧客の囲い込み戦略を実行し、既存顧客が優良顧客になると、一顧客あたりの単価の向上が期待できます。優良顧客は、その企業の商品・サービスを気に入っているため、継続的に大量に、あるいは高額商品を購入してくれる可能性があります。優良顧客の増加は客単価アップにつながり、売り上げの安定にも貢献します。
MERIT03顧客データの蓄積
顧客を囲い込み、継続的な購入が発生すると、顧客の購買データを蓄積できます。どのような顧客がどの商品を、いつ、いくらで購入しているかといったデータは、企業にとって貴重な財産です。マーケティング戦略の立案や新商品・新サービスの開発に、役立てられます。
MERIT04新規顧客の獲得につながる可能性
既存顧客から新規顧客が紹介されたり、SNS等での既存顧客の良いクチコミが新規顧客を引き寄せたりする効果も期待できます。どの企業も無視できないほどの存在となったクチコミの質向上にも、顧客の囲い込みは効果的です。
顧客の囲い込みを実現する手段
顧客の囲い込みを実現する手段を3つ紹介します。
01カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、商品・サービスを購入した顧客に継続的にかかわり、信頼感の向上とリピート利用につなげる手法です。商品やサービスの価値を十分に理解してもらうまで、能動的にかかわることが重要です。継続的なアドバイスや丁寧なサポートなど、顧客が成功体験を積めるアプローチを工夫します。
02SNS
企業のSNSアカウントを利用し、中長期的なファンを育成しようとする顧客囲い込み手法もあります。SNSは顧客との距離感が近く、手軽で、親近感を持ってもらいやすい点がメリットです。コメント機能やDM機能で双方向のコミュニケーションも取れるため、顧客に対して具体的にアプローチすることも可能です。
03ロイヤルティプログラム
ロイヤルティプログラムは、優良顧客に限定した特典を付与する手法です。優良顧客の特別扱いにより、自社に対する満足感や好感度を上げること、また、リピート利用の動機を与えることが目的です。顧客を限定したイベント企画や、購入金額に応じたポイント付与・還元率アップなどが、よく用いられます。
顧客の囲い込みに成功した事例
顧客の囲い込みに成功した事例を、3つ紹介します。
01 ハーゲンダッツジャパン株式会社 様 消費者キャンペーンで商品の世界観を伝える!ハーゲンダッツ 35周年記念感謝キャンペーン
ハーゲンダッツ様は、35周年にあたり、消費者キャンペーンとして、ハーゲンダッツの原材料の供給者を訪問したり、ハーゲンダッツを使ったオリジナルデザート楽しめるなど、特別な体験ができるツアーを企画。消費者の皆さまに直接感謝の気持ちを伝えつつ、さらにファンになって欲しい…そんな想いを形にしたキャンペーンを実施しました。
参加者様からは、もっとハーゲンダッツが好きになったというお声をいただくなど、大成功のツアーとなりました。
02 株式会社アデランス 様 読者がつい手に取りたくなる、でかけたくなるコミュニケーションツール
株式会社アデランス様は、会報誌「おでかけ日和」を通じて既存顧客の囲い込み企画を実施しました。囲い込み企画は会報誌「おでかけ日和」を会員とのコミュニケーションツールとして活用し、既存顧客の声を聞くことを目的としています。
会報誌のテーマを「旅」に定め、アンケート回答者に抽選で景品をプレゼントする消費者キャンペーンを告知。既存顧客のニーズにあった企画により、会報誌の認知度向上とリアルな声の収集を実現しました。
03 味の素AGF株式会社 様 コーヒーと共に癒しのひとときを“4か国を旅する”映像コンテンツ
競合他社との差別化と認知の拡大を目的とした、味の素AGF株式会社様による「AGF®ドリップオンザワールド」を紹介します。この企画では、JTB海外支店と連携し、新たな試みとして街歩き映像コンテンツを制作しました。
映像コンテンツ制作の狙いは、既存顧客に対して継続的な利用を促すプロモーションとコンテンツを入り口とした新規顧客の開拓です。商品の世界観を魅力的に顧客に訴求できるムービーが完成し、新しいコーヒーの楽しみ方を提案できるようになりました。
顧客の囲い込みを成功させるコツ
顧客の囲い込み戦略は、金銭的な価値提供の側面ばかりが注目されます。しかし、顧客の囲い込みを成功させるには、既存顧客への情緒的な価値提供も欠かせません。情緒的な価値提供とは、既存顧客があなたの企業に対して抱いている思いや、ロイヤルティを大切にする姿勢を見せることです。
情緒的な価値を感じてもらえる施策として、既存顧客を対象とした特別なイベントやコミュニティ形成がおすすめです。
まとめ
新規顧客の獲得難易度が高まっている現在、多くの企業にとって顧客の囲い込みの重要性が増しています。。顧客の囲い込みは、顧客のリピート率を上げ、売上や客単価の向上に寄与します。自社に対する良いクチコミや評判が定着すれば、既存顧客が新規顧客を紹介する流れも期待できます。
顧客の囲い込み成功のためには、顧客との丁寧な接点構築が重要です。金銭的な価値提供だけでなく、情緒的なロイヤルティを高める企画も立案し、提供する必要があります。
情緒的な価値を感じてもらえる施策として、既存顧客を対象とした特別なイベントやコミュニティ形成がおすすめです。貴社でも検討してみてはいかがでしょうか?
最後にお役立ち資料「これからの顧客接点の作り方 イベントマーケティングを成功に導く2つのポイントとは」を紹介します。こちらもぜひ、ご覧ください。