キックオフイベントとは、年度初めや新しいプロジェクトをスタートさせる時などに行われるイベントです。企業としてのゴールが共有でき、仕事へのモチベーション向上につながるので、ビジネスや事業を円滑に推進する効果があります。
この記事では、従業員のエンゲージメントを高めたい人や、より良い施策を知りたい人に向けて、キックオフイベントの概要や目的、メリット、注意点を紹介します。ぜひ、ご覧ください。
キックオフイベントの概要
キックオフイベントとはそもそも何なのか、ここではキックオフイベントの概要を見ていきます。
キックオフイベントとは
キックオフイベントとは、年度初めやプロジェクトの立ち上げ時に開催するミーティング・イベントのことです。企業単位や部署単位で行われ、会社のビジョンや年間の事業戦略、プロジェクトの目的やゴール、計画などを共有することで、組織として向かうべき方向性をメンバーで共有します。
また新入社員の入社時やプロジェクトチーム立ち上げ時など、新しいメンバーが揃うタイミングでキックオフイベントを行うと、従業員の一体感や士気を高める効果が期待できます。 近年では従業員のエンゲージメントを高めるために、キックオフイベントを取り入れる企業が増えています。
キックオフはもともとスポーツ用語
「キックオフ」と聞くと、フットボール系のスポーツが連想される通り、もともと、競技開始時や得点後の仕切り直しを意味するスポーツ用語として用いられてきました。
そのスポーツ用語から転じて、ビジネスでも新しいプロジェクトを始める際や、新しいプロジェクトで最初に行う会合などを意味する言葉として、よく使われています。
キックオフイベントの目的とは
キックオフイベントは、企業にとってポジティブな面があるからこそ重要視されています。ここでは、キックオフイベントの目的を紹介します。
企業としてのゴールの共有
キックオフイベントの目的は、組織の理念やビジョン、経営戦略、年間の目標を共有し、各自の仕事を意味づけることです。企業としてのゴールが共有できると、仕事へのモチベーション向上にもつながります。
淡々と業務を進めるだけでは、プロジェクトへの意識のすり合わせは困難です。しかし、キックオフイベントによって目指すゴールを統一すれば、より良いチームワークの形成が期待できます。
従業員の結束を固める
キックオフイベントを開催するもう一つの目的は、アイスブレイクやチームビルディング効果によって、従業員の結束が強まることです。
アイスブレイクとは、研修や会議などの本番前に、雑談や簡単なミニゲームなどを行うことです。初対面の人同士や会議の緊張をほぐし、コミュニケーションを円滑にする効果があります。
チームビルディングとは、個々人の能力や経験を最大限に発揮し、目標達成できるチームを作ることです。従業員間のモチベーション向上や、コミュニケーションの活発化などの効果があります。
例えば、プロジェクト立ち上げ時にキックオフイベントを行うと、プロジェクトメンバー同士の親睦を深められます。
キックオフイベントのメリット
キックオフイベントを実施することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、キックオフイベントのメリットを3つ紹介します。
01関係者との顔合わせの場になる
キックオフイベントは、プロジェクトに関わるメンバーの顔合わせの場にもなっています。
コミュニケーションがスムーズになるよう、少人数の場合は全員で一言ずつ挨拶し、大人数の場合はプロジェクトの責任者やリーダーのみが自己紹介をするのが望ましいです。
メンバー同士の顔やスキルなどを事前に知っておくと、親近感が湧き、良い雰囲気で仕事を進められます。
02現状の課題や必要事項が共有できる
キックオフイベントでは、プロジェクトの内容や目的、現状の課題、予算などの必要事項、スケジュール、役割などの全体像を確認します。その際に、体制図などの資料を用いると、メンバーの理解がより深まります。
企業としてのゴールをメンバー全員で共有することで、自分やメンバーの役割が明確になるうえに、現状の課題や予期せぬトラブルの解決策も見つけやすくなります。
プロジェクトをスタートさせる際には、メンバー全員が同じ情報・認識を持てるようにしておくことが大切です。
03合意形成ができる
キックオフイベントでプロジェクトに関する不明点を確認できる時間を設けることも重要です。従業員の疑問点を解消し、より理解を深められれば、その後の業務をスムーズに進められるためです。
また、プロジェクトの進行中に何らかのトラブルが発生した時や、発生しそうな時に、キックオフイベントでの質疑応答の内容がエビデンスとなってトラブルの解決に役立つ場合もあります。
キックオフイベントの注意点
効果的にキックオフイベントを実施するには、いくつかの点に配慮する必要があります。ここでは、キックオフイベントの注意点を紹介します。
目的を明確にする
企画内容によっては、資料の説明や話をするだけで、イベントが終わるケースがあります。
効果的なイベントにするには、キックオフイベントの目的を従業員にはっきりと伝えることが大切です。
プロジェクト立ち上げ時のキックオフイベントでも、プロジェクト内容の説明だけではなく、目的を明確にしてからイベントを開催する必要があります。
効果的なプログラム、演出を考える
参加者のモチベーションを上げるには、装飾やケータリングなどを通して、特別感を演出することが大切です。イベント内容に特別感があると、「気持ちを新たに頑張ろう」という気持ちを従業員に呼び起こすことができます。
また、目的を達成するために効果的なプログラムや演出を考えることも大切です。役員プレゼンテーションや著名人の講演、役員と社員の対談、グループワーク・発表など、さまざまなプログラムが考えられます。役員プレゼンテーションなどは、一方向のコミュニケーションにならないように質疑応答の場を設けます。
シンプルな資料を用意する
キックオフイベントで使用する資料に、イベント内容の詳細を記載しすぎるのは避けましょう。参加者はイベントよりも資料に気を取られてしまい、効果が薄れる可能性があるためです。
資料は大事な内容を強調しつつ、シンプルなものにすることが大切です。資料をスクリーンで映す際には、会場の大きさに合ったスクリーンを用意し、参加者全員が見やすいように工夫します。
タイムスケジュールを公開する
キックオフイベントは、1~2時間と短いものもあれば、1日がかりの長いものもあります。タイムスケジュールは、イベントに参加する従業員やイベント運営者に、事前に周知しておくことが大切です。参加者の集中力が途中で切れないような、メリハリのあるスケジュールを作成します。
振り返り・フィードバック
キックオフイベントは、定期的に開催されることが一般的です。開催後は、次のキックオフイベントに向けた振り返り・フィードバックを担当者同士で行います。
参加者の意見を取り入れるため、イベント内でQ&Aの時間を設けたり、参加後のアンケートを実施することも、キックオフイベントの効果を測定する上で有効です。
キックオフイベントにおすすめの企画
キックオフイベントでは、さまざまな企画が行われます。ここでは、おすすめの企画を5つ紹介します。
役員プレゼンテーション
役員プレゼンテーションでは、役員が担当している事業や計画について方針を話します。この場合、キックオフイベントは、役員が目指す事業の方向性を知り、従業員と役員との距離を縮めることが目的となります。
これから行う業務の意味や目的が明確になることで、会社への理解や帰属意識が深まり、仕事のモチベーションアップにつながります。
従業員の表彰式
従業員の表彰式を行う企業もあります。成果を上げた従業員を表彰することで、表彰を受けた従業員はもちろん、周囲の従業員のモチベーションも向上します。仲間が表彰されている姿を目の当たりにすることで、「次の表彰式で表彰されること」を目標に掲げ、一年間努力をする社員も数多くいます。なお、個人の業務成績だけでなく、組織への貢献も合わせて組み入れると、チーム全体の成果向上も期待できます。
成功事例・失敗事例の発表
プロジェクトの成功や失敗事例を共有することもあります。成功事例では成功の再現性、失敗事例では同類の失敗を未然に防ぐ狙いがあります。また、成功したプロジェクトや担当者、チームを評価する意図もあります。業務の見える化になるため、生産性の向上や業務の効率化にもつながります。
著名人による講演
著名人を招いて講演会を実施するケースもあります。この場合、キックオフイベントで、社内にはないノウハウをもたらすことができます。特定の業界やジャンルの専門知識を持った人に登壇してもらえば、イベントに深みをもたらします。さまざまなテーマに関する知識に触れられれば、業務に対する従業員のモチベーション向上も期待できます。
交流イベント
ゲームやクイズ、アクティビティなどを通して、役員と社員、社員同士などがカジュアルに交流できる場を設けるのもおすすめです。社員同士のコミュニケーションを深める効果があります。
ゲーム・クイズの例は、以下の通りです。
- 絵しりとりなどの簡単なゲーム
- クイズ大会
- ビンゴ など
これらのゲーム・クイズは、楽しみながら親睦を深められます。
またアクティビティの例は、以下の通りです。
- バーベキュー
- 流しそうめん など
アクティビティはカジュアルな雰囲気を醸成し、参加者の素の状態を引き出しやすくします。楽しく自然に、従業員同士の仲を深めることが可能です。
キックオフイベントの事例
キックオフイベントが実際にどのような形で企業に取り入れられているのか、ここではキックオフイベントの事例を紹介します。
ハイブリッド型キックオフイベント
某人材サービス会社様では従来、キックオフイベントをリアル開催していました。しかしコロナ禍によって、オンライン配信に変更しなければならなくなりました。
そこで、リアル開催と同じような熱量と一体感が出せるキックオフイベントを目指し、リアルとオンラインを掛け合わせるタイプのハイブリッド型でのイベントを行いました。
オンライン開催は初めてでしたが、演出に工夫をこらし、特別感と一体感のあるイベントとして成功を収めました。
某人材サービス会社様の事例はこちら
対面開催型キックオフイベント
A社様はアメリカに本社があるIT企業ですが、アジアの社員も増えており、社員間のコミュニケーションに課題を抱えていました。オンラインでの交流に限界を感じていたため、チームビルディングも兼ねた社内キックオフ会議を日本で対面開催することにしました。
短い準備期間で、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、本社があるアメリカからの数名と、アジアパシフィックエリア(シンガポール、オーストラリア、韓国、日本)の社員の総勢100名を超えるミーティング・イベントを実施しました。
某IT関連企業様の事例はこちら
まとめ
キックオフイベントとは、年度始めやプロジェクト立ち上げ時などに開催するミーティング・イベントです。「企業としてのゴールの共有」や、「従業員の結束を固める」ことに、その目的・メリットがあります。
効果的なキックオフイベントを実施するポイントは、目的の明確化や効果的なプログラム・演出、シンプルな資料の準備、タイムスケジュールの公開、振り返り・フィードバックの実施などです。本記事の内容を、ぜひ貴社のキックオフイベントに活かしていただければと思います。
最後に、ミーティング・イベントの検討・実施に役立つ資料を2つ紹介します。1つ目は、「開催地・会場選定77のヒント」です。イベント開催に関するノウハウが満載で、「企画のポイント」や「マンネリ打開策」「事例」も盛り込んだ一冊です。2つ目は、ビジネスイベントの設計のポイントについてまとめた資料です。ビジネスイベントマネジメントとは、企業が行うさまざまなイベントを、企業ビジョンや事業戦略上のゴール達成への手段と考え、総合的に管理・運用しようという考え方です。こちらの資料もぜひご覧ください。