新型コロナウイルス対策の一環として、リモートワークなど、オンラインを活用した業務遂行が推奨されています。しかし、この環境下で対応が現場任せになっている企業も多いのではないでしょうか。その結果、社内でのコミュニケーションが不足し、人間関係に悩む社員が増えています。そこでおすすめなのが、手軽なゲームを用いたチームビルディングです。本記事では、明日から活用できるオンラインでのチームビルディングについて紹介します。
オンライン環境におけるコミュニケーションの課題とは
オンライン環境において、社内の人間関係に悩む人が増加しています。その一因としては、リモート下ではどうしても業務連絡のみに終始してしまい、雑談をする隙がないことが挙げられます。
一般的に社内におけるオフラインのやり取りでは、挨拶から始まり、日常業務の間にもちょっとした雑談を挟みます。そのため、相手の表情や顔色から機嫌や現状を推しはかることが可能です。
しかし、オンライン環境ではそのようなやり取りを自然に行うのはやや困難と言えるでしょう。
メラビアンの法則では、「人は情報を得るときに、言語だけでなく、視覚や聴覚も使っている」とされています。具体的にその影響力は、言語7%、聴覚38%、視覚55%と言われており、リモートでのコミュニケーションの困難さがわかる内容です(※1)。
普段私たちは意思疎通を図るために、言語だけでなく聴覚と視覚も駆使しています。例えば、上司が不機嫌な表情と攻撃的な声音で話しているのを目撃した場合、言葉の内容が何であれ直感的に「上司は今、怒っている」と感じるでしょう。
メールなどテキストのみのやり取りは、必要事項を簡潔に伝えることには向いています。一方で、言語化が難しいあいまいなニュアンスや、本来あるはずの感情を伝えることは困難です。
さらに、リモート下では相手の多忙度を知ることが難しいため、気軽に相談の電話ができません。このようにオフラインのようにコミュニケーションを取ることは難しいため、コミュニケーション不全に陥る人が増加しています。
新卒・中途入社の社員への影響も
コロナ禍以降に入社した新卒や中途入社の社員の多くも、コミュニケーションに関する不安や不満を抱いています。しかし、リモート下におけるコミュニケーション関連のガイドラインを用意している企業は、まだ多くはないようです。そのため、具体的な対処法は提示されず、不満や悩みの解消は現場任せになっています。
中途採用者にとって、採用先の会社に定着するか否かを決定する要素として、配属先の人間関係が9割を占めると言われています。しかし、リモートワークが主流になりつつある現状では、中途採用の社員は場になじめず、孤立を感じてしまうこともあるでしょう。このように、コミュニケーション不足を要因とする、若手社員及び中途社員に関する定着率の低さが課題となっています。
オンライン環境におけるチーム力の高め方
オンライン環境でも、チーム力を高めることは可能です。例えば、Zoomなどのオンライン会議ツールでミーティングを行う際、業務連絡だけで終わらせるのではなく、意識的に雑談の時間を設けることが有効です。
また、雑談以上にチーム力を高める効果を発揮するのが「チームビルディング」です。チームビルディングとは、各人の能力やスキルを最大限に発揮し、力を合わせ目標達成に向けて動くチームを作ること。そのために開発された手法やプログラム、研修そのものを「チームビルディング」と呼ぶこともあります。
チーム内のメンバー各自が、自分らしさや多様性を発揮しつつ、相互に関わりながらゴールを目指す組織を作ることがチームビルディングの目的です。そのようなチームができれば、コロナ禍以降に入社したメンバーへのフォローもスムーズになるでしょう。
従来、チームビルディングの取り組みは会議室などに集まって研修スタイルで行われることがほとんどでした。しかし、リモート下においても、オンライン会議ツールを活用することで、チームビルディングは可能です。中でもおすすめしたい方法が、ゲームを用いたチームビルディングです。おすすめする理由としては、次の3点が挙げられます。
- コミュニケーションの活性化に即効性がある
- 複数の社員のモチベーションを同時に高めることができる
- 心理的安全性が高まることでアイディアが生まれやすくなる
チームが目標に向かって最大限のパフォーマンスを発揮するには、コミュニケーションを取ることが不可欠です。楽しく参加できるゲームなどを実施することで、メンバー間のコミュニケーション促進につながります。実施した直後から効果が出始めるのも特長です。
また、ゲームを通じてお互いを知り、一体感が生まれることで、参加した全員について「チームの一員として貢献したい」「上司から認められたい」というモチベーションの向上が期待できます。チームビルディングにより、コミュニケーションのハードルが下がることで、発言や相談といったアウトプットがしやすくなります。また各メンバーの個性や考え方を知ることで創造性も刺激されます。一人では思い浮かばなかった企画やアイディアも生まれやすくなるでしょう。
コロナ禍で不足しているコミュニケーション活性化や、チームの目標達成に向けたビジョン共有でモチベーションを向上させて、チームの一体感を醸成させるメリットがある。
出典:チームビルディングの目的と方法をおさえ、目標達成を目指す【手法例5つ紹介】 | d's JOURNAL(dsj)
チームビルディングにおすすめのオンラインゲーム
チームビルディングにおすすめのオンライン会議ツールを利用したオンラインゲームを紹介します。いずれも、楽しみながらチーム内の相互理解を深められます。
ゲーム01ヒーローインタビュー
野球中継などでよく見るヒーローインタビューを、メンバー同士で疑似体験します。ヒーローを一人決め、残りのメンバー全員あるいは代表者一人がインタビュアーとなります。テーマ設定は自由ですが、「自慢したいこと」や「得意なこと」など、質問される側がヒーロー感を味わえるものがおすすめ。ヒーローに対してインタビュアーが質問し、ヒーローが答えていくという簡単なゲームです。質問を重ねる中で、相手をより深く知ることができます。
ゲーム02陽口(ひなたぐち)ワーク
陽口とは、陰口の反対にあたります。本人のいないところで、「その人のよい点を列挙し褒める」ワークです。一人陽口を言われる人を決め、その対象者のみカメラとマイクをオフに。2分の制限時間を設け、対象者以外のメンバー全員で対象者のよいところを列挙します。
一人目は「〇〇が不在だから、言うんだけど……」と切り出し、対象者がいないことを前提に、その人のことを皆で褒め称えます。対象者はそれを聞きながらメモを取り、次の1分でメンバー全員に向けて感想を伝えます。
こうして、対象者を替えながら、全員の陽口を伝え合うのが陽口ワークです。笑顔が増えるうえ、まわりからどう思われているのか、ポジティブな言葉で受け取ることができます。
ゲーム03家宅捜査ゲーム
「白いもの3点」「丸い食べ物」など、幹事がお題を決め、各自家の中から対象物を探すゲームです。いくつかのチームを作ってチーム対抗で競うことも、個人戦として行うことも可能です。
個人戦として行うと、思わぬ相手の趣味やプライベートの部分が見え、話が弾み交流が深まります。また、チーム対抗戦にすると、相互協力により団結力が高まるでしょう。
ゲーム04NASAゲーム
チームでの合意形成力を高めるために適しているのがNASAゲームです。個人戦でも可能ですが、合意形成力向上のために行う場合は、チーム対抗戦がおすすめです。
参加者は月に不時着した宇宙飛行士です。手元に残ったアイテムで、320km離れた母船に戻らなければいけません。アイテムは15個準備されます。まず、個人でアイテムの優先順位をつけ、次に各自の意見を持ち寄り、チームとしての優先順位を決定します。
このとき、多数決で順位を決めてはいけません。それぞれの理由を、言葉にして話し合います。互いの意見を出し合ったうえでの、合意による順位の決定こそがこのゲームの目的。NASAによる模範解答が準備されているため、その回答に近い点数のチームが勝ちとなります。
ゲーム05嘘つき当てゲーム
チーム対抗のゲームを検討している場合、嘘つき当てゲームもおすすめです。少人数のチームを複数作り、お題を決め、一つのチーム(対象チーム)内に一人の「嘘つき役」を割り当てます。
別のチームのメンバーは、対象チームにお題に関する質問をしていく中で、対象チーム内の「嘘つき」を見破るゲームです。嘘つきを見破るという目的があるため、深い質問力や鋭い観察力が鍛えられます。
まとめ
本記事では、オンライン環境下におけるコミュニケーション不全には、チームビルディングが効果的であること、そしてその具体例を紹介しました。手軽なゲームを用いたチームビルティングはオンラインでも行え、どこか一ヵ所に社員を集める必要がありません。そのため移動の時間やコストがかからないこともメリットです。
オフラインでも雑談のようなコミュニケーションをほとんど取っていなかったチームにとっては、突然オンラインでゲームを行うことにハードルの高さを感じるかもしれません。この場合は、ゲームに取り組む前に、自己紹介や他己紹介といった、短時間で気軽にできるものから始めてみるのがおすすめです。
お互いを知ることで、徐々に雑談が交わせる人間関係へと発展するはずです。そのうえでオンラインゲームに取り組めば、ゲーム内でのやり取りもスムーズに。なお、一口にオンラインゲームと言っても、難易度はそれぞれ異なります。チームの様子を観察し、現状に適したものに取り組んでみるのがポイントです。貴社でも手軽なゲームを用いたチームビルディングを活用して、社内コミュニケーションの促進を図ってみてはいかがでしょうか。