営業チーム内で社員間コミュニケーションが上手くいっていないことに悩むマネージャーは少なくありません。HR総研「社内コミュニケーションに関するアンケート2021」を見ても、7割以上の企業が「自社の社内コミュニケーションに課題がある」と回答しています。上司に相談したい若手社員、目標達成のため自分の仕事に集中したい中堅、マネジメントに不安を感じるマネージャーなど、営業チーム内でもそれぞれの立場で考えていることは異なります。コロナ禍により連携が一層とりにくくなっている今だからこそ、社員間コミュニケーションを見直していくことが必要なのではないでしょうか。
今回は、営業チーム内で、なぜ社員間の意思疎通・情報共有が上手くいかないのか、原因とその解決方法を紹介します。
なぜ、チーム内でコミュニケーション不足が起きてしまうのか
多くの企業がコミュニケーションに課題を感じていますが、そもそも、なぜ部署内でコミュニケーション不足が発生してしまうのでしょうか。その原因を検証していきます。
マネージャーと一般社員の間で生じるすれ違い
リクルートマネジメントソリューションズの調査では、「上司・部下に言いたかった/言うべきだったのに言えなかった理由」として、「上司/部下の気分を害するから」が一般社員23.3%、管理職18.9%と、両者ともに最も高い回答となっています。
また、一般社員と管理職で回答率に大きな差が出ている項目として「上司/部下が忙しそうで気が引けるから」(一般社員16.3% 管理職8.4%)、「言っても聞いてもらえないから」(一般社員14.0% 管理職5.9%)、「反論されるのが嫌だから」(一般社員11.5% 管理職4.5%)があります。この結果から、相談したいことがあっても上司に気をつかい、声をかけられない部下(一般社員)が一定数いることがわかります。
それでは反対に、マネジメント側は部下に対してどのように感じているのでしょうか。『日本の営業実態調査2019』の「チームや部下に対して感じている問題トップ10」を見ると、「部下が自分で考えない・思考が浅い」(26.6%)がトップにきており、「マネジメントに話を聞いてもらいたい部下」と「部下に自分で考えてほしいマネジメント」というすれ違いが起こっていることがうかがえます。
営業チームにおけるコミュニケーション課題の解決方法
連携・コミュニケーションしやすい環境づくりは、マネージャーの立場にある人の重要な役割です。マネージャーの役割を改めて振り返ったうえで、コミュニケーション不足を解決する施策について紹介します。
まずはマネージャーの役割を把握する
「マネージャーは、部下を管理することが仕事」だと認識している人は多いかもしれません。しかし、管理はマネージャーの仕事の一部で、「チームをゴールに導く」ことが主な役割です。そして、チームをゴールに導くためには、次のステップが不可欠です。
- 組織・チームが目指すべきゴールをチームに共有する
- プロセス(進捗や課題)を明確にして導く
- チームの力を最大化する
ここでは特に「③チームの力を最大化する」について触れたいと思います。この「③チームの力を最大化する」ことを実現するために重要なのが、「安心・安全な職場」と「個人のパフォーマンスの最大化」です。つまり、意見を言いやすい、出社したいと思える職場環境に整え、個々が能力やスキルを発揮できる状態になれば、チームの力が自ずと最大化されるということです。決して簡単なことではありませんが、これには「1on1ミーティング」が大きな効果を発揮します。
コミュニケーション課題の解決方法
「1on1ミーティング」をはじめ、コミュニケーションの活性化やチームの結束力を高める方法をご紹介します。
方法01営業チームにおける1on1ミーティングの実施
1on1ミーティングとは、その名の通り上司と部下が1対1でミーティングをすることです。組織によって異なりますが、頻度としては週に1回行われることが多く、30分前後の時間を使って対話を行います。
前述した「チームの力を最大化する」「安心・安全な職場」「個人のパフォーマンスの最大化」のためにはこの1on1が有効です。チームメンバーには言えない個人の悩み、本当はフォローしてほしいこと、業務の中で抱えた疑問などを話してもらえるよう、じっくりとメンバーと向き合います。
また、
- 組織・チームが目指すべきゴールをチームに共有する
- プロセス(進捗や課題)を明確にして導く
- チームの力を最大化する
というステップを、各メンバーに対し「1対1」、時には「1対N(複数名)」の形で行います。1on1を通じてメンバーの悩みに耳を傾け、成長を促し、キャリアプランをサポートすることが大切です。日頃の不安・不満を解消することで、モチベーションの向上にもつながります。
注意点として、一方的な指摘にならないようにすることがあげられます。苦手意識を持たれてしまうことで、モチベーションの低下や本音が言えないという問題が生じかねません。1on1ミーティングは、オンラインでも定期的に実施することで効果が期待できます。
方法02コミュニケーションツールの活用
Webミーティングツールやチャットツールなど、近年便利なコミュニケーション手段が多数登場しており、それらを上手く活用して、コミュニケーションを促進していきます。導入にあたってのポイントとしては、以下があげられます。
- 使いやすいツールを選ぶ
- 複数のツールを併用しない(一元化する)
- 情報共有にあたってルールやフォーマットを決める
- メンバーの投稿にリアクションする
導入したとしても、活用されなければ意味がありません。ツール上でも、情報共有しやすい環境にすることが大切です。
方法03キックオフミーティング
プロジェクトのスタート時に行われる会議・打ち合わせのことで、そのプロジェクトの目的や進め方などをメンバー間で共有します。また、年度や四半期の初めに部署ごとに行われるケースもあります。部署のメンバーに目指すべきゴールを意識づけ、士気を上げて一致団結していくことが大きな目的となります。1on1ミーティングとの併用も効果的です。
方法04オフサイトミーティング
会社から離れた非日常的な場所(リゾート地や温泉地など)で行うミーティングのことです。メンバーは開放的な気持ちになり、普段は言えないような本音を語ってもらえるのが効果の一つです。また、いつもとは違う空間だからこそ新しいアイディアが生まれる可能性もあり、コミュニケーションだけでなくクリエイティブにも効果的です。例えば、営業チームの定例ミーティングのうち数回をオフサイトミーティングで実施するなどが効果的です。
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戦略だけでなく価値観を共有することが社員間コミュニケーションのポイント
Face to Faceのコミュニケーションであれば、自然と雰囲気や空気感が伝わるものですが、テレワークではリアル対面のようにはいかなものです。だからこそ、上司やマネージャーは、プロジェクトの目的や意思決定の背景を丁寧に言語化し、タスクの優先順位を明確にして部下に伝えることで、営業メンバーは自信を持って働けるようになります。
またテレワークでは、直接会って会話することができません。普段であれば、雑談の中でさまざまな話をしますが、テレワークでは、なかなか難しいと言えます。だからこそ、業務に関わる情報をやり取りするだけでなく、個人のコンディションや感情まで含めて共有することが大切です。モヤモヤした感情や孤独感をため込まず、チームや上司と共有する環境を整えておきたいものです。共感し合ったり、アドバイスし合ったりすることで、たとえ離れていてもチームの一体感を醸成でき、信頼関係が築けます。
まとめ
営業チーム内のコミュニケーションが活性化することで、実にさまざまなメリットが生まれます。しかし、メンバーが胸に秘めている希望、悩み、不満、疑問はそれぞれ異なり、それがすれ違いの原因になることもあります。
チームのコミュニケーション課題を解決するためには、まずはマネージャーの立場の人が自身の役割をしっかりと理解し、チームのためにどんな働きかけが必要か把握していくことが重要です。そのうえで、一人ひとりの声に耳を傾けるために、個別にコミュニケーションを取っていくことがとても大切になってきます。1on1を効果的に行い、営業メンバーの個性や気持ちを把握するためには、それをサポートしてくれるサービスやプログラムを導入することも有効です。ぜひ、貴社でも導入を検討してみてはいかがでしょうか。